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襲来−1−

「クリスがそう言うならいいけど···」 目覚めたジュリアは渋々ブレンの手を鎖で縛った。 「キーパーはこのことを···」 ブレンは力なく首を横に振った。 「知ってたら執政官になんてなれませんよ」 消え入りそうな声だった。 「とりあえずキーパーに会うのが先だな」 最奥の部屋にキーパーのカルがいるということで、 ブレンと一緒に向かった。 部屋に着くまで、ブレンはずっと俯いていた。扉をノックすると中から声がした。 「入れ」 中には背の高い女性が立っていた。光沢のある黒いレザーのドレスを着ていて、スタイルの良さが際立っていた。部屋の半分はガラス張りで、ピゴーロの街が見下ろせた。 「私の部下が世話をかけたな」 ソファに座って、これまでの経緯を話した。 「··#そうか。ブレン、まだ戦えるか?」 「え?」 カルの意外な言葉にブレンは呆然としていた。 「魔物の大群がすぐそこまできている。私にはお前の力が必要だ」 「···私にそんな資格はありません」 「資格などどうでもよい。この国が魔物に支配されてもいいのか?」 「それは···」 ブレンが言葉に詰まると、カルが肩に手を置いた。 「お前がやったことは許されることではない。ただ 私が知る限り、お前がこの国に尽くしてきたのも事実だ。未熟な私を助けてくれないか?」 ブレンは肩を震わせながら涙を堪えていた。 「···尽力します」 声を絞り出して答えた。 「俺たちにも手伝わせてくれ」 「そのつもりだ。ブレンより強い奴はそうそう現れないからな」 そう言って、カルは少し微笑んだ。 「そうと決まれば、ゆっくりしてる時間はない。 ブレン、避難の指示と衛兵の指揮を頼む」 「承知しました」 「僕たちはどうすれば?」 「避難が完了したら、空に光を照射する。そしたら ブレンと一緒に行動してくれ」 「分かりました」 ブレンたちと一旦別れて、マイル達と合流することにした。外に出ると、避難を指示するアナウンスが流れて街の人たちがこちらに向かっていた。 「ここに来てからトラブルばっかりね」 ジュリアがうんざりという顔をしていた。 「用事はいいのか?」 「そんなの最初からないわよ。面白そうだと思ってついてきただけ」 「ならそう言えばいいのに。素直じゃないですね」 「何でそんな面倒くさいことをするんだ?」 「あーうるさいわね!早くマイルを探すわよ」 ジュリアは拗ねたのか、先を急いだ。

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