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しばらく進むと、こちらに向かってくるマイルたちが見えた。 「おーい!マイル!パウロ!」 ジュリアが手を振ると駆け寄ってきた。 「ネロはどうしたんだ?」 パウロが真っ先に聞いてきた。 「ネロは···死んだ」 そうクリスが告げると、マイルとパウロは顔を見合わせて俯いた。 「···ごめんね。ネロを助けられなくて」 そう言うと、マイルがぱっと顔を上げた。 「誰も悪くないです!ネロの死を無駄にしないようにやることをやるだけです!」 「マイルは···強いね」 「治癒士は死と隣り合わせですから」 小さな体には大きすぎるほどの覚悟が見えた。 「マイルの言うとおりだな」 クリスがマイルの肩に手を置いた。 「パウロ、お母さんは?」 ジュリアが聞くと、先に避難したそうだ。 「俺も魔物と戦う!」 そう言ったパウロの頬をマイルが叩いた。 「な、何すんだよ!」 「生きて帰ってこれるかわからないんですよ!」 「それでもいい!」 「どんだけ願っても、マイルは二度とお母さんには会えません···。パウロはこれからお母さんと一緒に過ごす時間がたくさんあります。だから···その時間を無駄にしないでください!」 いつも明るく振る舞っているマイルが、必死に涙を堪えながら話す姿に胸が締め付けられた。 「···わかった。死んだら許さないからな!」 そう言って、パウロは避難場所に向かった。 戦いに備えて準備をしているとピラミッドの頂上から白い光が真っ直ぐ空に伸びた。カルが言っていた避難が完了した合図だった。 「行くぞ」 クリスを先頭にピゴーロの正門へ急いだ。 「戦いたくてうずうずしてきた」 ジュリアはなぜか楽しそうだった。 「ジュリアは戦闘依存症ですね···」 マイルが冷ややかな目で呟いた。 「そうかもね」 正門に着くと、ブレン率いる部隊がすでにいた。 「ずいぶん数を揃えたな」 衛兵に加えて、人型の機械も数体並んでいた。 「念には念を、ですよ。そちらのお嬢さんは?」 「治癒士のマイルです!」 「その年で治癒士とは感心ですね」 マイルは喜ぶべきか分からず困った顔をしていた。 「作戦は?」 「私とクリスさんは近接戦に強いので前衛として、 残りの2人は後衛として距離を取って魔物を倒してもらおうと思ってます」 「分かった」 地図を確認すると魔術士の場所を示す黒い点が近くまで来ていた。 「もうすぐ来ます!」 「それでは行きましょうか」 ブレンは剣を構えた。 「死ぬなよ」 クリスも剣を抜いた。 「それはお互い様です」 ブレンは真っ直ぐ前を見つめて駆け出した。

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