39 / 78

−3−

入り口を出ると、大型トラックがすれ違えるくらい広い道が続いていた。いつ魔物が襲って来てもいいように周りを警戒しながら進んだ。 「見えてきましたよ」 ブレンが見つめる方向に、おびただしい数の魔物を従えた魔術士がいた。底無しの闇が迫ってるような 感じがして寒気を覚えた。 「みなさん、準備はいいですか?」 ブレンの言葉に頷き、クリスが一歩前に出た。 「無茶はだめですよ」 広い背中に声をかけた。 「わかってる」 クリスは優しい声で答えた。 魔物の群れは大きな羽音を立てて近づいてきた。 ほとんどが蛾や蜂のような形をしていて、剣で攻撃するのは難しそうだった。 「あの魔物は厄介ですね」 「リーチが短い俺たちは不利だな」 属性を調べると、火が弱点だった。 「僕に任せてください!」 火と風を組み合わせて、呪文を唱えた。 「ファイアーストーム!」 炎の嵐が魔物を飲み込みだいぶ数を減らしたと思ったが、次から次へと魔物が湧いて出てきた。 「···何かがおかしいです」 「同感だな」 「どこがおかしいんですか?」 ブレンが不思議そうな顔で聞いてきた。 「俺たちを倒すことが目的なら、もっと強い魔物を仕向けてくるはずだ」 「確かに···攻撃力が低い魔物ばかりですね。つまり 目的は他にあると?」 「やつにとって最大の敵は、同じ転生者のケイだ。 ケイをできるだけ石から遠ざけて魔力を削ることが目的だとしたら···」 「石ならあの建物の地下にあります!」 ブレンが指差したのは、街の人が避難しているあのピラミッド型の建物だった。 「街の人たちが危ないです!」 そう言って、マイルが来た道を戻り始めた。 「マイル、待って!」 ジュリアがマイルを追いかけた。振り向いた先には鷹の形をした魔物が五羽飛んでいた。 「私達も戻りましょう!」 ブレンを先頭に走り出したが、魔物のスピードには 全然追いつけなかった。 「アクア···」 呪文を唱えようとしたのをクリスに止められた。 「魔力は温存しておけ」 「でも···」 「使うなとは言ってない。あまり魔力を消耗しないようにするんだ」 「···分かりました」 魔物は風に乗ってランダムに動いて、上手く狙いを定めることができなかった。 「機械の出番ですね」 ブレンがスイッチを押すと、機械の目が赤く光って 魔物に向けてマシンガンで攻撃を始めた。放たれた銃弾は何とか一羽を仕留めたが、弾のストックが無くなり攻撃が止まってしまった。

ともだちにシェアしよう!