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飛空−1−
みんなのところに戻ると、クリスが駆け寄ってきて
きつく抱きしめられた。
「よく···戻ってきた」
「信じてくれてありがとうございます」
大きな背中に手を回して、肩に頭を乗せた。
「先程の無礼を許してほしい」
カルは部隊を引き連れて、跪いた。
「僕がカルの立場なら同じことをしたと思います。
許すもなにも、カルは当然のことをしただけです」
カルは立ち上がると、僕の手を握った。
「私達にできることなら何でも協力しよう」
そう言って、部隊と一緒に敬礼をした。
「ありがとうございます」
とりあえず敬礼で返した。
「これからどうするつもり?」
ジュリアがクリスに聞いた。
「聞いてどうする?一緒に来るつもりか?」
ジュリアは腕組みをして、クリスに体を当てた。
「クリスがどうしてもって言うなら行ってあげてもいいけどね」
クリスは面倒くさそうな顔をしていた。
「マイルはジュリアに来てほしいです!」
マイルは無邪気な笑顔でジュリアにくっついた。
「マイルがそう言うならいいわよね?」
「好きにしろ」
ジュリアはマイルとハイタッチをした。
怒涛の戦いを終えて、建物の中に入るとパウロと
お母さんが会いに来てくれた。
「みんな生きててよかった···」
「この子ったら皆さんのことが心配で、ずっと泣いてたんですよ」
お母さんの言うとおり、目が真っ赤だった。
「それは言わない約束だろ···」
「泣き虫ですね!」
マイルの言葉にパウロは言い返さなかった。
「心配してくれてありがとな」
クリスがパウロの頭を撫でた。
「この街にはいつまでいるんだ?」
パウロはクリスを見上げた。
「明日には出るつもりだ」
「そっか···。母ちゃん、見送りに行ってもいい?」
「もちろん」
パウロはガッツポーズして家に帰っていった。
「今日はこの部屋を使ってください」
衛兵に案内された部屋は、シンプルな内装だったが居心地の良さそうな部屋だった。
「お風呂も各部屋に付いてるのでご自由に」
衛兵が扉を閉めて、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
「さすがに疲れました···」
「ちゃんと風呂に入ってから寝ろよ」
「うーん···起き上がるのも面倒くさいです」
そのまま寝ようとしたが、クリスにお姫様抱っこ
されてお風呂場に連れていかれた。
「一緒に入るならいいだろ?」
クリスの言葉に目が覚めた。
「え?ちょ、ちょっと降ろしてください!」
「もう遅い」
そう言って、あっという間に服が脱がされた。
クリスも服を脱いで、肌が直接触れ合った。
「嫌か?」
「···嫌じゃないです」
クリスはふっと笑うと、唇を塞いだ。
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