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盛り上がった逞しい筋肉を指でなぞると、クリスの呼吸が荒くなった。 「気持ちいいですか?」 クリスは静かに頷いた。 指でなぞったところを追いかけるように優しく唇でなぞると、声が漏れた。ゆっくりと下にずらしてはキスをしてを繰り返し、クリスの先端が先走りで濡れた。 「今度は俺の番だ」 そう言うと、ざらついた舌が生き物のように動いて 僕の弱いところを探し始めた。胸の先端を絡め取ると、熱が膨らんだ。 「ここだな」 クリスは指と舌で執拗にいじめた。さっきまでの 疲れが嘘のように快感に身を委ねた。 「キス···してください」 「素直でよろしい」 舌と舌が混ざりあい、体温が1つに溶け合った。 「クリス···」 「···ケイ」 お互いのものを扱いて、同時に熱を吐き出した。 シャワーで汗を流すと、先に出たクリスが髪の毛を 拭いてくれた。 「クリスって···意外と優しいですよね」 「意外とって失礼だな」 そう言いながら、クリスは嬉しそうだった。 「1つお願いしてもいいですか?」 「何だ?」 「腕枕してほしいです」 「お安い御用だ」 クリスの腕枕は安心感があって居心地がよかった。 「おやすみ、ケイ」 「おやすみなさい、クリス」 目を閉じると、あっという間に朝が来た。 クリスはまだ寝ていたので、二度寝しようとしたら ライカの声がした。 「ケイはその男のことが好きなのか?」 「い、いきなり何聞くんですか···」 急な質問に動揺してしまった。 「違うのか?」 「···好きです。僕の大切な人です」 クリスの髪を優しく撫でた。 「好きという感情は我らには理解できぬ」 「その人のためなら何でもできる、何でもしてあげたいという気持ちですかね」 「その男がケイの戦う理由でもあるのだな」 「そうとも言えますね」 「ならば、我にとってはケイが戦う理由となるな」 「ライカにそう言われると恐縮です」 僕の言葉にライカは笑った。 「自信は己を強くする。自分を信じるのだ」 「ありがとうございます」 窓から朝日が降り注いでいた。 「起きてたのか?」 クリスが目を覚ました。 「おはようございます」 「まだ寝てたい」 そう言うと、抱きついてきた。 「甘えん坊ですね」 クリスのおでこに軽くキスをした。 「ケイと一緒にいると落ち着くんだ」 「僕もクリスといると安心します」 「このままずっと寝てたい」 そのままだと二度寝しそうだったので、左頬を何度か叩いた。 「起きてください」 「嫌だ」 「次の国に行かないと」 「嫌だね」 「ならもう一緒にお風呂入りません」 「それは嫌だ」 「じゃあ起きてください!」 クリスを立たせて、洗面所に連れて行った。

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