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準備を済ませて部屋を出ると、同じタイミングで マイルとジュリアが向かいの部屋から出てきた。 「2人とも楽しい夜だった?」 ジュリアがニヤつきながら聞いてきた。 「関係ないだろ」 クリスが不機嫌そうに答えた。 「ムキになるってことは楽しかったのね」 「首をつっこみすぎです!」 マイルがそう言って、ジュリアを引っ張った。 「私も彼氏ほしいー!」 そう叫びながら引きずられていった。 「朝からうるさいやつだな」 「ですね。僕たちも行きましょう」 クリスの手を握って、1階に下りた。 1階にはカルとパウロたちがいた。 「これを持っていくといい」 カルから渡されたのは小さな箱だった。 中を開けると、針が10本入っていた。 「これは何ですか?」 「電気針だ。相手に刺して雷魔法を使えば、相手を追跡してくれる」 「ありがとうございます」 「すでに3つの石が奪われ、魔物の数も増えてくる。 使いどころを間違うなよ」 「分かりました」 「幸運を祈る」 そう言うと、カルは一人一人と握手を交わして自分の部屋に戻っていった。 「俺は母ちゃんを守れるように強くなる!」 「パウロならきっとなれるよ」 「きっとな。俺を倒せるくらい強くなれ」 「うん!」 「悪い女には引っかかっちゃダメよ」 「パウロに負けないくらい強くなります!」 「おう!」 「皆さん、本当に···本当にありがとうございました」 「またなー!」 パウロは僕たちの姿が見えなくなるまで、ずっと 手を振っていた。 ピゴーロを出ると急に寂しさが襲ってきた。 「もっといたかったです···」 マイルの声に元気がなかった。 「全部片付いたら、パウロに会いに来ましょ」 ジュリアはマイルの肩にそっと手を置いた。 「次はどこですか?」 「ヒュートだ」 クリスが指差したのは、街ごと空に浮かぶ風の国 だった。魔術士の位置は捜索範囲を広げても見つからなかった。 「どうやってヒュートに行くつもり?」 「空を飛ぶなんて無理です!」 「無理じゃないですよ」 指輪を投げると、ライカが現れた。 「話は聞いていた。背中に乗るがよい」 「ライカに乗って行きましょう」 「そんなの危ないし怖すぎる!」 ジュリアはまだライカの姿に慣れないようだった。 「普通のルートだと倍はかかるぞ」 「分かってるけど、嫌なものは嫌なの!」 「ジュリア、高いところ怖いんですか?」 マイルの質問に、恥ずかしそうに頷いた。 「なら目を瞑っていろ」 「って言ってます」 ライカの言葉をそのままジュリアに伝えた。 「分かったわよ!行けばいいんでしょ···」 そう言うと、ジュリアは恐る恐る背中に乗った。 「マッドロック!」 手と足を泥で固定して落ちないようにした。 ライカが羽を動かして、空に向かって飛び立った。

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