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「ちょっと休憩しませんか?」
「分かった。あそこで休もう」
建物を出てから2時間ほど歩いたが、1つも手がかりを見つけられず疲労ばかりが溜まっていった。
「ケイ、疲れたか?」
クリスは水筒をくれた。
「少し休めば大丈夫です」
冷たい水が喉を潤した。水筒を返すと、クリスも水を飲み込んだ。大きい喉仏が上下に動いて、なんとなくいやらしく感じた。
「何見てるんだ?」
「な、何でもないです···」
「もっとこっちに来て」
近づくと、クリスが口移しで水を飲ませてくれた。受け止めきれなかった水が地面に落ちた。
「こうしてほしいって顔してたぞ」
クリスはそう言ってニヤッと笑った。
「そ、そんな訳ないじゃないですか」
恥ずかしくて目を逸らすと、さっきこぼれた水が
流れているのに気づいた。
「クリス、水筒貸してください」
「もう一回はやらないぞ」
「そうじゃないです」
まさか、と思いながら水筒の水を少し垂らすと、
さっきこぼれた水と同じ方向に流れた。
「これ見てください!地面が傾いてます」
「ヒュートを浮いてるのは確か石の力のはずだ。
もしかしたら、石に何かあったのかもしれない」
「石はどこに?」
クリスは知らないようだった。
「ここから北に進んだ遺跡の地下だ」
ライカが答えてくれた。
「北にある遺跡の地下にあるみたいです」
「分かった。まずはマイルたちと合流しよう」
「分かりました。ファイアーワーク!」
居場所を知らせるために空に花火が打ち上げた。
30分ほどして、マイルたちと合流した。
「こっちは収穫ゼロ。そっちは何か分かった?」
「街全体が傾いてるみたいです」
思いがけない言葉に、マイルたちは驚いていた。
「この街は石の力で浮いてるそうなので、これから石があるという遺跡に向かうつもりです」
「話は分かったわ」
「マイルも了解です!」
「それじゃ行くか」
クリスが歩き始めたその時、唸り声のようなを轟音を立てて地面が揺れ始めた。
「地震!?」
立っているのもやっとなほどの激しい揺れはすぐに収まってくれた。
「怖かったです···」
マイルは涙を目に浮かべながら、ジュリアにしがみついていた。
「···かなり揺れたわね」
「この揺れが続けば建物も壊れるな」
水筒の水をもう一度垂らすと、さっきよりも流れるスピードが速くなっていた。
「傾きがさっきよりも大きくなってます!」
「遺跡に急ごう」
また地震が来るかもしれない、という不安を抱えたままクリスを先頭に走り出した。
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