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遺跡につながる道は瓦礫で通れなくなっていた。 「魔法でどかせるか?」 「やってみます」 呪文を唱えようとすると、ライカに止められた。 「石の力が安定するまでは使わないほうがいい」 「どうしてですか?」 「本来であれば、石の魔力をコントロールするのは キーパーの務めだ。しかし、均衡が保たれてない今 魔法を使えばさらに状況が悪くなるだろう」 ライカの言葉を伝えて、別のルートを探した。 何とか魔法を使わず、遠回りをして遺跡に着いた。 地下に繋がる入り口がないか探したが、それらしい ものは見当たらなかった。 「ライカ···本当にここにあるんですよね?」 「間違いない」 そうは言っても、地下へ向かう方法が全くわからず ただ時間ばかりが過ぎていった。 「これ何ですかね?」 マイルが何かを見つけたみたいだ。 上から覗くと、像の台座に文字が刻まれていた。 「なんて読むのかしら?」 「古代文字みたいだな」 ライカが書いてある文字を読み上げてくれた。 陽沈むとき火を灯せ 門番に己の力を示せ さすれば扉は開かれる 夕日はすでに半分雲海に飲み込まれていた。 見回すと、遺跡の隅に松明のようなものが見えた。 「火が必要だな」 クリスは落ち葉や木を一箇所に集め始めた。魔法が使えないので、大剣を瓦礫にぶつけた際の火花で火をつけた。1人1つずつ松明に火を灯して、日が沈む前に元あった場所に戻した。 松明の光で遺跡が照らされると、対に置かれているライオンの像の目が光ったような気がした。 「私の見間違いじゃないわよね」 「そうだったらいいんですけど」 像は本物のように台座から下りて、牙を剥き出しにして僕たちを威嚇し始めた。 「こいつらが門番で間違いなさそうだな」 そう言って、クリスは剣を構えた。 「やるしかないわね」 ジュリアも短剣を構えた。 2人の戦いの邪魔にならないように、マイルと一緒に離れたところに移動した。 「油断するなよ」 「そっちもね」 2人は目を合わせて、同時に攻撃を仕掛けた。 ライオンは軽快に体を動かして、攻撃をかわした。 「思ったより動きが速いわね」 「俺が囮になる」 クリスがライオンの攻撃を剣で受け止めてる間に ジュリアがニ体の体を鎖で結んだ。 「よくやった」 「そろそろ決めるわよ」 ライオンが走り出した2人を追いかけたが、鎖が邪魔になって届かなかった。その隙を狙って、剣を振り抜くと原型が分からないほど粉々に砕け散った。 「やりました!」 マイルが2人に駆け寄った。 先に進めるのは嬉しかったが、2人の息がぴったり なことに少し複雑な気持ちになった。

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