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遺跡−1−

遺跡の中心にある、5つの点が繋がった円形の部分が開いて地下への階段が現れた。階段は壁伝いに歩かないと落ちてしまいそうな狭さだった。 「どこまで続いてるんでしょうか?」 「かなり深そうね」 下は真っ暗で何も見えず、永遠に闇の中を彷徨ってる気分になった。 「階段が終わった。気をつけろ」 前からクリスの声が聞こえた。 下りるところがなくなり、底に着いた。 「何も見えないです···」 マイルの声の響き方からして、底はかなり広い空間のようだった。 「魔法が使えたら···」 「どっちに進むか分からないな」 どうすべきか困っていると、ライカの声がした。 「指輪を手のひらの上に乗せてみろ」 言われたとおりにすると、指輪から光が溢れた。 「そういうのは早く教えてください」 「石は近いぞ。急げ」 ライカに文句をスルーされた。 照らされた空間には、壁一面に絵が描かれていた。 5つの国の上に5つの石があり、魔物や龍と思われる ものも見られた。 「これ見て!」 ジュリアが指差していたのは絵ではなく、古代文字だった。 闇蘇るとき光目覚め 光死すとき闇も消え さすれば平和が訪れる 「これって···」 「···転生者のことよね、きっと」 「光死すとき闇も消え」 マイルが言葉にした一節が重くのしかかった。 「ケイは俺が死なせない」 「···そ、そうよね!私たちが倒しておしまいよ」 「ライカ、だから僕を試したんですね」 「黙っていてすまない」 ライカの声は少しだけ弱々しかった。 「この世界に来た理由が分かってよかったです」 無理やり笑顔を作って、みんなの顔を見た。 「僕が死ぬわけないじゃないですか。みんな大袈裟ですよ。ほら、先を急ぎましょう」 「何があっても治します!」 マイルはそう言って、自分の胸に手で当てた。 「ありがとう、マイル」 「クリスのことなら何でも聞いて」 ジュリアは笑顔でウインクした。 「愚痴も聞いてください、ジュリア」 「俺たちの前で作り笑いはしなくていい」 そう言うと、クリスは両手で顔を包んでくれた。 気づけば自然と涙が頬を伝っていた。 「僕···正直、怖いです。でも、これが僕の役目なら みんなと一緒にこの世界を救いたいです」 「強いな、ケイは」 「最後までみんな一緒です!」 「とことん付き合うわよ」 「みんな···ありがとう」 僕が泣き止むまで、3人とも側にいてくれた。

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