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ロムの背中に揺られてたどり着いたのは、巨大な滝だった。ロムの頭を撫でると、空中で一回転して水の中に姿を消した。
絶え間なく注がれる水のカーテンが開いて、精霊の
女王リラが現れた。リリよりも一回り大きく、羽衣のようなものを身に纏っていた。
「ようこそ、精霊の森へ」
「お邪魔しています。転生者のケイです」
「中でゆっくり話しましょう」
カーテンをくぐった先は、暖かい日差しが降り注ぐ空間が広がっていた。小ぶりな花が一面に咲き誇っていて、絨毯のようになっていた。
「お座りください」
椅子の形に切られた切り株に座った。
リラは体の倍以上はある羽を優雅に揺らしていた。
「ここに来る前のことを教えて下さい」
リラにヒュートであったことを話した。
「なるほど。恐らく、魔力が暴走したことでこの森への入り口が開いたのでしょう」
「それで僕が迷い込んだ···」
「あくまで私の予想ですけどね」
そう言うと、リラは微笑んだ。
「あの···戻るにはどうしたら?」
「そう焦ることはありません。ここは時間の流れが
他の世界と違ってゆっくりなので」
リラはそう言って、僕の本に触れた。
本が空に浮かび、五体の動物が目の前に現れた。
「5つの属性にはそれぞれ属性を司る精霊がいます。先ほど連れてきてくれたのが、水の精霊ロムです。精霊の力を借りることで、より強力な魔法を使えるようになります」
リラの言葉に魔術士を倒す可能性がある気がした。
「みんなを守るために···そして魔術士を倒すために···
もっと強くなりたいです」
「そう言うと思って、精霊達にはあなたのことを話してあります。精霊があなたに力を貸すかどうかは
あなた次第です。恐れず素直な気持ちで対話してみてください」
リラはそう言うと光を放ちながら姿を消した。その代わりに、体長4mはあろうかという大蛇が現れた。敵意は感じないものの体が大きくて少し怖かった。
大蛇は舌を出したり、引っ込めたりしながらゆっくりと顔を近づけた。リラの言葉を信じて、力を貸してほしいと正直に話した。
大蛇の顔は手で触れられる距離まで近づいた。よく見ると体は大きいが、目はつぶらで子どものようだった。右手を伸ばすと少し離れた。
「大丈夫だよ」
目を見つめたまま、今度は左手も伸ばした。
「お願い」
そう言うと、両手の間に顔が来た。優しく触れると気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてとぐろを巻いた。
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