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ザバームがある大砂漠に近づくにつれて、日差しを遮るものがなくなり肌を焦がした。 「あと···どのくらい?」 ジュリアが暑さにやられていた。 「あと2時間はかかるかと···」 地図で見る限り、まだ距離はあるようだった。 「日陰で休憩したいな···」 先頭を歩くクリスが呟いた。どれだけ見回しても、砂漠が広がるばかりで日陰は見つからなかった。 「みんな、だらしないですね!」 マイルは疲れ知らずで、砂漠を満喫していた。 「マイルのその元気も暑苦しい···」 ジュリアはうんざりといった顔で、水を飲んだ。 「あそこに何かある」 クリスが指差す方を見ると、オアシスがあった。 「みんな、行くわよ!」 ジュリアが真っ先に走り出した。 「マイルが先です!」 マイルがあとに続いた。 「あそこから魔物の気配がする」 ライカがそう言ったときには、クリスもオアシスに向かって歩き始めていた。 「ジュリア、待って!」 追いかけようとしたが、砂に足を取られてうまく 走れなかった。ジュリアが僕の声に振り向いた時、オアシス全体が揺れ出した。 「おいおい、嘘だろ···」 オアシスだと思っていたのは、サソリの形をした巨大な魔物の背中だった。 「早くこっちに!」 魔物はジュリアに狙いを定めて、鋭利な尻尾を素早く動かした。 「ルム、お願い!」 ギリギリのところでルムが尻尾を弾き返した。 「···死ぬかと思った」 戻ってきたジュリアは顔が青ざめていた。 「こいつを倒したら休憩だな」 クリスは背中の剣に手をかけた。 「ここは僕に任せてくれませんか?」 「いいのか?」 「はい。精霊の力を試してみたいんです」 「分かった」 そう言うと、クリスは手を離した。 ルムに乗って、魔物に向かっていった。 「ウインドブレード!」 風の刃は確実に当たったが、殻が硬くて傷がついた 程度だった。物理的な攻撃が効かないと分かって、次の一手を考えた。 「ロム、力を貸して!ブリザード!」 ロムが現れ、魔物の周りを優雅に泳いだ。 乾いた大地に水が吹き出し、ルムが風を起こすと 猛吹雪が吹き荒れた。魔物の体が次第に凍り始め 動きが止まった。 「ロックブレイク!」 無数の岩が氷に刺さり、亀裂が入った。 魔物は氷と一緒にバラバラに砕け散った。 「ロム、ありがとう」 頭を撫でると嬉しそうに鳴いて消えた。 ルムと一緒にみんなのところに戻ると、ジュリアがルムに頭を下げた。 「さっきは助けてくれてありがとう」 ルムはジュリアに近づいて顔を舐めた。 「ちょっと、くすぐったいってば」 ジュリアは嫌がりながらも嬉しそうだった。

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