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リラの言葉にみんなの視線が集中した。
「方法があるんだな?」
クリスの言葉にリラは頷いた。
「魔術士が吸収した石の魔力は、あまりにも膨大で
完全に取り込むまでに時間がかかります。その前に倒すことができれば世界は元に戻ります」
「でも···今の僕たちじゃ」
圧倒的な力の差を目の当たりにして、本を持つ手がまだ震えていた。
「ええ、今のままでは勝てません。あなた達には、
闇に対抗できる唯一の力が必要です」
「光···ですか?」
話しながら、遺跡の文字を思い出した。
闇蘇るとき光目覚め
光死すとき闇も消え
さすれば平和が訪れる
「もう知っていたのですね」
「ケイは···死なないですよね?」
マイルが勇気を出して聞くと、リラが僕たちの緊張した顔を見つめた。
「光死すとき、というのは光の魔力が消えるときという意味です。なので、皆さんが心配しているようなことは起きません」
その言葉に安堵のため息が漏れた。
「どうやって光の力を手に入れるの?」
ジュリアがそう聞くと、リラは森の先を指差した。
以前は霧がかかってて見えなかった神殿のような
建造物が見えた。
「あれは光の神殿で、闇の力が蘇ったときにしか姿を見ることはできません。神殿に行き、光の精霊の力を借りることができれば力を手に入れられます」
リラの表情が固くなった。
「しかし、光あるところに闇は生まれるものです。
邪な気持ちがあると分かれば、力は貸してもらえないので気をつけてください」
「分かった」
「精霊のご加護がありますように」
そう言って、リラはいなくなった。
「私が神殿まで案内するね」
リリを先頭にして神殿に向かった。
「それにしても綺麗なところね」
ジュリアは目につくものにいちいち感動していた。
「見たことない植物がいっぱいです!これで回復薬を作ってみたいです!」
マイルも興奮を隠しきれていなかった。
「薬草畑があるから、後で連れてってあげる」
リリの言葉にマイルは目を輝かせた。
「こんなに早く来られるとはな」
「長居はできませんけどね」
隣を歩くクリスも景色を楽しんでるようだった。
「ケイは···いや、今話すことじゃないな···」
珍しく歯切れが悪かった。
「話したいことがあるんですか?」
クリスは話すべきかどうか迷っていた。
「黙ってたら余計気になります」
そう伝えるとクリスは足を止めた。
「もし、元の世界に戻れるとしたら戻りたいか?」
考えたこともない質問だった。
「···僕はこの世界でクリスと一緒にいたいです」
「そうか」
クリスは僕のおでこにキスをして微笑んだ。
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