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神殿−1−

光の精霊がいるという神殿は、近づくにつれてその 美しさに目を奪われた。全てが純白で、光を反射して輝いていた。 リリも神殿を見たのは初めてらしく、心なしか興奮しているようだった。神殿の入り口の扉は固く閉ざされ、他に入れるところは見当たらなかった。 「あれ、何かしら?」 ジュリアが天井を見つめていた。 顔を上げると、五角形のそれぞれの角が青、赤、黄 緑、茶色に塗られていて、対角線が交差したところが白く塗られていた。 「ケイ、精霊たちを呼んでみて!」 リリに言われるがまま、精霊を呼び出した。 ラム、リム、ルム、レム、ロムが五色の光に変わり 扉がゆっくりと開いた。 「私はここまでだから」 「リリ、ありがとう」 「幸運を」 リリはそう言って、来た道を戻っていった。神殿の中に足を踏み入れると、足音が真っ白い空間に響き渡った。 「入れたのはいいが、どこに行けばいい?」 クリスの質問に答えるように、五色の光が進むべき道を示してくれた。 「綺麗すぎてちょっと怖いかも」 ジュリアが歩きながら呟いた。 「何の音も聞こえないです···」 マイルも少し不安そうだった。 「とにかく、精霊に会うことだけを考えよう」 クリスの言葉にみんな頷いた。 同じような景色がしばらく続いて、同じ道を歩いているような錯覚に陥った。本当に精霊に会えるのか心配になった時、五色の光が扉の前で止まった。 扉は白と黒の二色に分かれていて、一面に繊細で美しい柄が彫られていた。取っ手はなく、その代わりに文字が書かれていた。 剛求めれば柔を知れ 柔求めれば優を知れ さすれば力を授けよう 扉がゆっくり開き、今までとは雰囲気の全く異なる場所が現れた。真っ黒なシャンデリアが天井からいくつも吊り下がり、床はチェス盤のように白黒交互の模様になっていた。 不思議と真っ白な空間より気持ちが落ち着いていることに驚いた。大きな窓はステンドグラスでできていて様々な色の光が差し込んでいた。 突然、扉が閉まる音がして一斉に振り向いた。 扉の前には、長髪で全身を白い服に身を包んだ男性が立っていた。 「誰だ?」 「あなた達が探している者です」 声は柔らかかった。 「···光の精霊?」 マイルの問いに優しく微笑んだ。 「力を貸してください!」 「お願いします!」 「この世界を救いたいの!」 「もう時間がないんだ!」 精霊は僕たちの言葉に頷いて口を開いた。 「ならば、あなた達の心を試します」 精霊はそう言うと、白い翼をはためかせて消えた。

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