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第9話 敵わない

「え?だって一人だと心細いって、言ってたし……」 いきなり入って来た冬夜はからかうように言った。冬夜がシャワーの栓をひねったのでザバザバ流れているが、そんな事かまってられない。 「シャワーは流石に一人で入れるよ!」 「それに、激しい運動した後はちゃんとマッサージしないと……筋肉痛になるよ」 そう言って冬夜はおれを壁に追い詰め、腰をスルリと撫でた。 「ど、どこ触ってるんだよ!そこは関係ないだろ」 そう言って押し返そうと思ったが冬夜の方が力が強くてすぐにタイルの壁に追いやられる。冬夜は腰からお尻、胸のあたりを揉む。 しかも冬夜の触り方が何だかいやらしくて、思わず体が反応しそうになる。 「汗もいっぱいかいたし、しっかり流さないと」 「ちょ……ほんと、やめ……っ」 「ほら、ここ固くなってきてるよ」 そう言って冬夜はおれの陰茎を扱く。刺激されてあっという間にそこは立ち上がる。 「そ、それはお前が変な触り方するから……っあ……そんなとこ筋肉痛になるわけないだろ……」 狭いシャワールームの中、完全に壁に追い込まれて身動きも取れない。今はおれ達しかいないからいいが誰かが入って来たら不審に思われてしまう。焦ったが、冬夜はピクリとも動かない。 逆に腕を取られて壁に押し付けられて、足の間に冬夜の足を割り込ませられてさらに動けなくなってしまった。 「あーやばい。伊織のエロい声で俺も勃っちゃった」 そう言って冬夜は固くなった物を押し付けてくる。 首筋にざらりと舌が這う感触がした。 「や、やめ……ほんと……誰かに見られたらどうするんだよ」 「今の時間帯はここを使う人はいないから大丈夫。それにカーテンもあるし……でも、あんまり大きな声出したら流石に聞かれちゃうかもね」 「お前が今すぐ止めれば済むはなしだろ……っあ……やめ……」 そう言っている間にも中心を扱き、胸をいじってくる。 「無理だよ。さっきも荒い息させて汗だくになって、俺のこと誘ったでしょ?」 「そ、そんなわけないだろ!運動してたら……普通の反応だ!……っあ、ああ……」 冬夜の手はどんどん激しくなる。陰茎は勿論のこと胸も指で捏ねるように刺激される。 「伊織、もうちょっと足閉じて……一緒に気持よくなろう?」 冬夜はそう言っておれの足を閉じさせ、その間に自分の物を挟みこませた。おれは力が入らなくてもうされるがままだ。足の間に冬夜の固くなったものを感じる。シャワーのお湯のおかげで滑りもいい。 シャワーが流れる音の他に肌と肌がぶつかる音がする。冬夜はその間にもおれのものもせわしなく扱いていく。 胸も刺激されて頭がクラクラしてきた。足ががくがくして壁に手をついてやっと立っているような状況だ。 「も、もうダメ……」 「俺も限界……っ……伊織……」 「っあ……ああ!」 耳元で低い声で囁かれ耳の淵をゾロリと舐められあまがみされた。少しの痛みだったがイキそうになっていたおれには快楽に変わる。 熱い物がこみ上げてきたと思ったら、中心から白濁したものが吐き出された。 「あー、気持ちいい……」 冬夜も少し体を震わせた後、熱を吐き出す。ヌルついた物が足の間に感じる。 もう滅茶苦茶だ、こんなところでこんな事をするなんて思わなかった。 足ががくがくするので、壁に手を付いてやっと立っていると言った感じだ。 壁に寄りかかる。ひんやりとしたタイルが気持ちいい。 その時、誰かがシャワー室に入ってきた音がした。 「!っう……嘘だろ……早くここから出ないと」 「ダメだよ、ここで二人も出てきたら、逆に変に思われるよ。じっとしてやり過ごそう」 「で、でも」 シャワー室にはいカーテンで仕切られているから姿は隠れている。しかし、カーテンはそこまで長くなく、少し身を屈めると足が見えてしまう構造になっている。しかも完全に囲われているわけでもないので、ちょっと覗けば中が見えてしまう。 「声抑えて……変に注意を引いたら気付かれちゃうよ。こうしてくっついてたら大丈夫」 そう言うと冬夜はおれを引き寄せ、向い合せにして抱きしめた。 こんなにくっつく必要はなさそうだったが、どちらにせよ部屋に入って来た人間は隣でシャワーを浴び始めてしまっていたので動かない方が無難だ。 幸いな事に音はシャワーのおかげでかき消されている。どれだけ待てばいいか分からないがしばらく待つしかない。 「流石にスリルあるね。伊織もドキドキしてる」 「っあ……おい!こんな時に変なとこ触るなよ」 冬夜はあろうことか指で胸を探ってきた。さっきイッたばっかりで敏感になっていて、指の腹で少し擦られただけで声を上げそうになってしまった。 「じゃあ、声が出ないように塞いでおこうか」 そう言って冬夜は口でおれの口を塞ぐ。 「なんでそうなるんだよ……んっ」 問答無用で口を塞がれ反論も出来なくなる。 舌が入ってきて中を掻きまわす。口の中も敏感になっているのかジワリと快楽を拾ってしまう。 「もしかして、人がいるのに興奮してる?顔がエロい……」 「し、してない……エロい顔ってなんだよ……」 思わず文句を言ったが声が震えていて説得力はあまりなかった。 「本当?嘘つく子にはお仕置きだね」 「え?なに?……っあ、やめ……」 冬夜は後ろに手を回し、背中をするりと撫でながらお尻を掴むと指を割れ目に入れ込んできた。 指は後孔を探るように触れてくる。思わずお尻を締めてしまう。 冬夜も気が付いたのかクスリと笑った。 「誘ってる?」 「ちがっ……あ!」 慌てて否定したがその途端、冬夜の人差し指が中に入ってきた。濡れているからか痛くはない。指はゆっくと奥に入ってきてグネグネと動く。 「たしか伊織のいいところはここだったよね」 「っあ!や、やめろって……」 指は以前された時に感じたところに触れる。指がゴツゴツしているから触れるだけで刺激が強い。しかも俺が反応した途端、そこばかりをせめてくる。 「少し、静かにしようか……」 「んん……っ!っん!」 また口を塞がれおれは冬夜の腕の中で身もだえることしか出来ない。なんとか逃げようとしたが首筋を捕まれてしまってさらに動けなくなった。 息がしづらくてクラクラしてくる。 もうダメだと思っていたら、隣のシャワーが止まりカーテンを開け出て行った音がした。 遠くでロッカーを開ける音や着替えてきた。 「っ……もう……無理、離して……」 「何言ってんの、伊織また固くなってるじゃん。中途半端じゃ辛いだろ?」 やっと解放されると思って離れようとしたが壁に押し付けられ、いつの間にか復活していた中心を握られた。 「っあ!いや……もうダメ……」 「あーそんな顔してそんな事言っても、誘ってるようにしか見えないよ。俺もまた勃っちゃったから一緒にしよう……」 冬夜はそう言って自分の物とおれの物を束ねて擦りつけるように扱く。 「っあ……やぁ……」 「いつもと違うのも新鮮でいいね。また来よう。伊織ほら、口開けて……」 もう、まともに頭が動かない。おれは言われるままに口を開ける。冬夜はその途端顔を傾けて口を塞ぐ。舌が入って来ておれの舌を救い上げ吸い上げられる。 薄い粘膜をこすられ、まともに動かない頭は気持ちいいとしか考えられない。気が付いたら自分からしがみついて舌を絡めていた。 冬夜の動きは激しくなって、限界はすぐに来る。 「伊織、伊織……っ」 息継ぎのために離れた時、冬夜が低い声で名前を呼ぶ。顔を上げると冬夜の熱を帯びた目と合う。さっきまで冗談ぽい態度だったのに、その鋭い目線にドキリとした。 「無理……イク……」 「俺も……」 もう無理だと熱を吐き出した途端、冬夜も白濁したものを出した。目の奥がチカチカする。 「あ……あ……」 切れ切れに声をこぼし、全てを吐き出す。足ががくがくして必死に冬夜にしがみつく。 しかし、そこで限界が来たみたいだ。 「あれ?伊織大丈夫?」 遠くなる意識の中でそんな声が聞こえたが、おれはそのまま意識を失った。 「ん……」 ——目を覚ますとおれは自分の部屋にいた。 「あれ?どうやって帰ってきたんだけ?」 覚えがなくて一瞬慌てる。しかし、直ぐに思い出した。 ジムでのあの出来事の後、一瞬意識をなくしたもののおれはしばらくして目は覚めた。それでも頭も体も疲れと興奮もあって記憶は曖昧だ。 なんとか冬夜に手伝ってもらって着替え、半分抱えられながらジムを出てなんとか部屋に帰ってきたのだ。 そうしてベッドに倒れこんだ途端に寝てしまって、今にいたる。 「どれくらい寝たんだろ……」 窓の外を見ると、薄暗くなっていた。夕方のようだ。それなら眠ってから二時間くらいだろうか。 「えっと……時計は……うわ!」 起き上がろうとしたところで手に何かサラサラした髪の毛が触れて驚いた。見ると冬夜がベッドに寄りかかった状態で眠っていた。 「え?何してるんだ?」 この部屋に送って貰った後の事は記憶にない。もしかして、一応心配して残っていてくれたのだろうか。 「っていうか、ほとんどこいつの所為で倒れたようなもんだし……」 何をされたのか思い出すと、特にありがたいとは思えない。まあ、その前に無茶な運動をしてしまったのも原因だが、それでも人がいつくるか分からない状態であんな事をする方が悪い。 そう思うと段々腹が立ってきた。 「叩き起こして、追い出してやろうか」 体はまだだるいしもっと眠りたい。こんなところにいたら邪魔だ。 しかし、冬夜はやけに気持ちよさそうにすやすや眠っていた。 それを見ていると何だか気が削がれてきた。 「まあ、いっか……」 そう言ってぽすんとベッドに寝転がる。ぼんやりと今日の事を思い出した。 「それに、最後のスカッシュは楽しかったし……」 スポーツをして、あんなに楽しいと思ったのは初めてだった。 おれは本当にむかしから運動が苦手で、学生の時から授業で体育があっても楽しいと思った事はなかった。なんとか上手く出来るように努力はしたのだがなにもしても上手くいかず、結果失敗して、そして周りから嗤われた。 でも冬夜は嗤ったりしなかったし、下手なおれに最後まで付き合ってくれた。 「それにしてもきれーな顔……」 寝転がりながら冬夜の眠っている顔を見る。ただ眠っているだけなのにその顔は整っていて男が見ても綺麗だと思う。 近くに近寄っても肌は綺麗だしまつ毛も長い。こんなにまじまじと見ることもなかったからあらためて驚く。 「本当になんでこんなにイケメンでモテるのに、わざわざおれに絡んでくるんだろ……」 まあ、こんななに色々持っていたら飽きて、たまに変な物をかまってみたくなるのかもしれない。 おれは起き上がると冬夜に薄い掛け布団をかけてやる。 おれもベッドに戻って横になった。 しばらくすると、また眠くなってきた。運動をしすぎた所為なのかまだお腹も空いてない。明日は仕事だし、休めるなら出来るだけ休んでおきたい。 冬夜は起きたら勝手に帰るだろう。 段々と頭がぼんやりしてきて、気が付いたら目を閉じていた。段々と意識は深いところに沈んでいく。 その時、頭に暖かいものが触れて撫でられているような感触がした。これは以前も寝ている時に体験した。心地良くて気持ちがいい。うっとりしてそちらに頭を寄せたらさらに撫でてくれて、そのまま頬も撫でられる。その手つきは優しくて、もっと撫でて欲しいなと思った。唇になにか柔らかいものが触れた。 もしかしてキスされている? そう気が付いておれは目を開けた。 「あれ?朝……?」 窓を見るともう日が昇っていた。 「なんだ夢か……」 なんだか変な夢を見たみたいだ。 なんであんな夢を見たのか疑問に思ったが、時計を見るともう仕事に行く時間になっている。 おれは慌てて準備を始めたので、変な夢を見たことは忘れてしまった。

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