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第18話 答え合わせ

「んん……ん」 せわしなくキスをしながら、服を脱がされる。キスをしながらだから、なかなか進まない。 「伊織。ごめん、少し腰上げて」 「ん……っあ!……ご、ごめん」 ズボンを脱がされた時、敏感な所を触れられ、その途端反応して声が出てしまった。 まだキスしかしてないのに、過剰に反応してしまって恥ずかしくなる。 冬夜はクスクス笑いならもどんどん服を脱がせていく。 「本当に伊織は敏感だよね」 「う、うるさいな……」 恥ずかしくて思わず睨む。それでも冬夜の服を脱がす手を遮ったりはしなかった。 冬夜は首筋や頬にキスをし、脇腹や太ももにも優しく触れる。 すると、冬夜がふと思い出したように言った。 「でも体は敏感なのに、伊織はそれ以外は鈍感だよね」 「え?何だよ、急に……」 「だってさ、俺はもうとっくに伊織のこと好きだってバレたと思ってたのに、全然気付かれてなかったんだもん」 「え?そんな、分かりやすいことしてたか?」 心当たりがなくて聞き返す。 「一度、ジムに一緒に行っただろ?あの時は、後で絶対にバレたなと思った」 「え?何かあったっけ?」 あの時は色々必死でそんなこと気が付かなかった。というか、弱みを握ろうと冬夜の事を観察していたはずなのに、気が付かなかったとしたら情けなさすぎる。 「あの時、伊織は特に女装もしてなかったのに、シャワー室で色々しちゃっただろ?」 「あ……確かに」 冬夜がおれの部屋に来る時はいつも女装していた。冬夜が女装してと言ったからだ。 「女装して貰ってたのは会う口実のためだったのに、ジムで伊織が裸になって目の前でウロウロするから我慢できなくなっちゃってさ」 冬夜は思い出しながら胸の突起に舌を這わす。 「っん……も、もうあんな事するなよ……倒れたりして大変だったんだから」 「ふふ、あの時はやりすぎちゃった。ごめんね。でも伊織、いつもより反応良かったよね」 「っあ!、だ、だから止めろって……んんあ」 冬夜がそう言って股間のあたりに腰を押し付け、こすりつけるように動く。思わず反応して冬夜を睨みつけたが、冬夜は嬉しそうな顔をするだけだった。 「伊織、本当可愛い。大丈夫、他人には絶対に見せたくないから、もうしないよ」 冬夜はそう言って、体を起こして少し離れて上から下まで眺める。 「お、おい。あんまりジロジロ見るなよ……」 裸をそこまでまじまじと見られるのはやはり恥ずかしい。しかも中心は微かに反応してしまっている。 「やだ。もっと見たい……」 冬夜はそう言って、太もも撫で足を大きく広げた。 「ん……あぁ……」 太ももの内側に舌を這わす。薄い皮膚を刺激されて体を震わせる。半勃ちだった陰茎から先走りがこぼれてきた。 閉じたかったけど冬夜の頭があるから閉じられない。もじもじしている間にも撫でられ敏感な所を刺激される。なんどかピリッとした痛みもあってキスマークをつけられたみたいだ。でも、そんな刺激も気持よさに変換され、おれは体を震わせた。 「すごい、濡れてる……」 「い、言うな……」 自分でも先走りでべとべとになっているのが分かるので、恥ずかしい。 「今日はいつもより感じやすくなってる?」 「わ、わかんない……」 そう言われて顔が真っ赤になる。確かにいつもより感じやすい気がするが何故かは分からない。しかも、深く考えると何だか恥ずかしい結果になりそうなのであまり考えたくない。 「ここも濡れてる」 「ん……っく」 冬夜の手が後孔に触れ、指が入ってきた。先走りがこぼれて濡れていたおかげで抵抗感もなくスルリを入ってきた。 「この間から時間が経ったからちゃんと解さないとね」 「んあ……っあ!」 そう言って冬夜は指を増やして、中で動かす。知らず腰が揺れてしまって恥ずかしい。無意識に中を締め付けて、冬夜の指の形がはっきりわかった。 指を入れられただけなのに、奥の方がうずうずする。 「中……うねってる」 「い、言わないで……」 冬夜は中を探りなら耳元で囁く。 自分でも分かったので改めて言われて恥ずかしくなる。耳元で囁かれた低い声にまで気持よくなってしまって、体中が発火したみたいに熱くなってきた。 おれは冬夜にしがみつき顔を隠す。 「伊織、あんまりしがみつくと解せないよ」 「で、でも……」 「ほら、いい子だから……」 そう言って耳を舐められて、そこら中がトロトロに蕩けたようになってしまう。また指が増やされた。 しばらくすると、解された場所からは違和感より快楽の方が強くなってきた。 「ん……ああ……と、冬夜……も、もう大丈夫……だから……」 たまらなくなってそう言った。冬夜はゆっくり丁寧に解してくれるのだが、ゆるい刺激ばかりがで辛くなってきた。 「じゃあ、次はどうして欲しい?」 「え?あ、あの……」 冬夜に聞き返されて口ごもる。改めて言われるとなんて言っていいか分からなくなる。 「うん?はっきり言ってくれないと分からないよ」 「い、意地悪……」 やっぱり言えなくて顔を真っ赤にさせながら言う。冬夜はそれを見てまた嬉しそうな表情になり顔中にキスを落す。 「ごめんね。伊織が可愛いから、つい意地悪したくなる」 「ば、馬鹿……んん、ん……」 長い時間中を解されて頭も溶けてしまったようだ。まともに言葉も喋れない。 「ね、伊織。伊織の中に入っていい?」 「は、恥ずかしい言い方するなよ……あと……いちいち聞かなくていいから……」 流石に自分の気持ちはもう自覚しているが、口に出すのは恥ずかしい。冬夜に好意をもったのがいつなのかはわからない、でも乱暴にされた時、想像以上にショックを受けた。それは冬夜が怒った事が事が悲しかったわけではなく、嫌われたと思ってショックをうけたのだ。 きっと、あの時もうすでに好きだった。 冬夜はおれの言葉に、嬉しそうな顔をして服を全て脱ぐ。 「っ……あ……」 そういえば冬夜の裸をマジマジと見たのは初めてかもしれない。均整がとていて逞しい。綺麗な体で思わず見惚れる。定期的にジムに通っているのは伊達じゃない。 こんなすごいのに、自分なんかを好きだと言ってくれているのはやはり信じられない。 「いくよ……」 冬夜がゆっくり近づいてきて散々解した場所に硬いものを添えた。冬夜の物はガチガチに固くなっていて、先走りも凄い。きっと解すまで我慢していてくれたのだろう。 そう思うと何だか嬉しいような胸が苦しくなるような感覚になる。 「んあ……と、冬夜……」 「伊織……痛かったら言ってね……」 そう言いながら、ズズっとゆっくり入ってくる。中が押し広げられる感覚がはっきり感じられてそれだけでゾクゾクしたものが体を走った。 「っ……だ、大丈夫……んあ……ああ」 「っすげ。やっぱり中、気持ちいい……」 冬夜は少し堪えるような顔をした後、一気に奥まで腰を推し進めた。 「ああ!……っあ」 「ごめん、我慢できない」 「っは……っく……気持ち……い……っあ……っあ……っあ」 「っ……!」 思わず口からこぼれた言葉をきっかけに、冬夜はガツガツを動き出した。急な動きに首ががくがくする。内壁を硬いもので擦られて痺れるような快楽が走った。 激しくて涙が滲む。でももっとして欲しくて自ら足を絡めた。 「伊織……あんまり可愛いことしないで……」 「んあ……?なに?……っあ」 「また、無理な事させそうになるから」 「わ、わかんない。……でも……大丈夫……だから……もっとぎゅってして……」 もう何もかも蕩けて自分が何を言っているのかもよく分からなくなってきた。気持ち良す過ぎてボロボロ本音がでる。 「っもう……知らないからな……」 冬夜はそう言うと痛いくらいにおれを抱きしめ、さらに腰を打ち付ける。体を限界まで折り曲げているので少し苦しいがそれ以上に気持ちがいい。 「もう……イキそう……」 「お、おれも……」 すぐに限界が来た。冬夜が思いっきり腰を引いて最奥まで冬夜の物が入ってくる。狭いところをゴリゴリ擦られ、体を震わせながら熱を吐き出す。同時に中で冬夜が吐き出した感触がした。さらに奥を刺激されて快楽が波のように何度も襲ってくる。 「はぁ……はぁ……伊織……」 「冬夜……ん……」 荒く息をしながらお互いを求めるようにキスをする。舌を絡めるだけで気持ちがいい。 ダラダラ唾液がこぼれるくらいキスをしていたら、入れたままになっていたものがまた固くなっていることに気が付いた。 「伊織……ごめん、もう一回いい?」 冬夜は軽く頬や首筋にキスしながら聞いた。息も上がって足もがくがくだったが、もっとして欲しいという感情しか浮かばなかった。 「ん……して……」 恥ずかしかったけど、精一杯の誘いの言葉を口にする。期待で心臓がバクバク高鳴っているのがわかる。 「伊織……」 もう、お互いには言葉はいらなかった。見つめ合うと冬夜はまたゆっくりと動き出す。 おれはまた来るであろう快楽に備えて冬夜にしがみついた。 結局その後、二度三度と入れっぱなしでしてしまった。流石に疲れてベッドで二人で寝そべると狭いベッドで抱きしめ合うような形になった。 冬夜が愛おしそうに頭を撫でてくれる。くすぐったいが気持ちがよくて止める気にもならなかった。 ぼんやり余韻に浸っている時、ふと思い出して何気なく冬夜に聞いた。 「そういえば、女装が見つかったあの日、冬夜は何の用事でおれの部屋に来たんだ?」 あの時は冬夜とは友達とも言えないくらいほとんど喋ったことも無かった。女装がバレたことで頭がいっぱいで、疑問にも思わなかったが思い出してみると何で来たのか冬夜は言っていなかった。 すると、冬夜がちょっと気まずい表情になる。 「あー……あれは、なんていうか。ちょっとした気の迷いというか……勘違いというか……」 「え?どういう事だ?」 なんだか歯切れの悪い言い方に首をかしげる。 「あの日、朝にキッチンでたまたま伊織とすれ違ったんだ。朝食を食べようと思って……」 「ああ、そう言えばすれ違ったっけ」 その日は休日で、顔を洗ったあと朝食を食べ。その後、部屋に籠って一日中女装して楽しもうと思っていたのだ。 「あの時、伊織から香水の匂いがしたんだ。しかも女性物の……」 「香水?そんなの……あ……」 言われて思い出した。実はその前日に、ネットで注文した女装用の服や化粧品が届いていて。その中に試供品として入っていたのだ。 香水なんてほとんど付けたことなんてなかったから、買おうとも思ってなかった。でもせっかくだからと試しに前の晩に何となく振りかけてみたのだ。 結果は部屋の匂いが凄く女の子っぽくなって、女の子の部屋にいるみたいな気分になって面白かった。 匂いだけでもこんな効果があるんだと驚いた記憶がある。 でも翌日にはそんなこと忘れていて、匂いが残ったまま外に出ていたのだ。 「その匂いで、もしかして彼女が出来たのかと思って。慌てて伊織の部屋に行ったんだよ……完全に勘違いだったけど……」 「なるほど……そんな理由だったんだ」 それでおれの部屋に来たら、その本人が女装していたというわけだ。 「最初は驚いたけど、伊織が可愛い恰好だったから何となく理由が分かった」 「それで、なんで脅そうなんて行動になるんだよ」 「だって、全然喋るきっかけもなかったから、どうにかして伊織と関係を作りたかったんだ。まあ、やり方が不味かったのは分かってたけど俺も必死だったんだよ」 冬夜は苦笑しながら言った。 「その割に、ノリノリだったと思うけど……」 「だって、伊織の反応があんまりにも可愛いかったから、途中から止まらなくなっちゃたんだ」 「もう……また、可愛いとか」 冬夜は口癖のように何度も可愛いと言う、おれはどう見ても男だ。以前はからかっているんだと思っていたが、どうやら本気で言っているようで、改めて恥ずかしくなる。 「可愛いものは可愛いからしょうがないよ。いままで我慢してたけど、もっと言っていくから覚悟して」 「あれで、我慢してたのかよ。本当にたまにでいいよ……」 そう言うと冬夜はまたクスクス笑うと、苦しいくらいにギュッと抱きしめてきた。 「本当、嬉しい……」 「な、何が?」 「自業自得なのは分かってるけど、以前はいくら可愛いって言っても、伊織は本気にしてくれなかったから」 「まあ、それは今でも信じてないけどな……」 「でも、あの時は好きだって伝えることすら、出来ないと思ってたから嬉しいんだ」 冬夜はやけに感動したように言うので戸惑う。そんなに思い詰めるような事だろうか。 でも、冬夜は男が好きだということは、隠していた。一生言うつもりなかったとも言っていた。本人にとっては好きだと言うこと自体が有り得ないことで、あの時の告白は本当に勇気を振り絞ってくれたのかもしれない。 あの時、冬夜の震えた手を思い出した。 きっとおれには想像もつかない葛藤があったんだろう。 おれは冬夜の真似をして、冬夜の頭をそっと撫でた。 「伊織……好きだよ……」 「……おれも」 おわり

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