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第7話

双子、だが二卵性双生児として生まれた俺と一。最初からその位置付けは決められていた。 俺はそれを両親からの期待と喜び、この家に見合う当主となれるよう、誰の目から見ても一切のほころびなきようと努力してきた。 そんな俺に対し、既に自分の行く末に絶望するかのように何事にもやる気がなく、いつもふらふらと漂うように生きる一。 俺はそれでも兄弟としてこの家に相応しくあってほしいと願い、一を諭したり、時には叱咤激励してみたが、その生活態度に変わりはなく、いつの頃からか俺は一の存在を無視するようになっていった。 その頃からだったか、学校の同じ歳の奴らと自分の置かれている立場からの目線の違いが顕著に現れ出したようで、周囲からも孤立していくようになっていった俺にただ一人、心許せる相手として俺を周囲から守るように立ちはだかってくれたのが沢だった。 家の執事の息子として、俺と一は沢に小さい頃はよく遊んでもらっていた。 少し時が過ぎ、一があのようになってからはその相談をするようになり、二人きりで会う時間が多くなっていった。少し年上の優しいお兄ちゃんはいつの間にか俺の初恋の相手になった。 そして、沢が沢の父と同じようにこの家の執事となり、主に俺たち兄弟の世話をするようになった。 α性を持つ沢にはもっと相応しい職もあったとは思うが、個人的には沢がこの家にいてくれることが嬉しくて、俺は沢にどんどん近付くようになっていった。 そしてそれは突然だった。 いつものように俺と沢は沢の部屋で沢の淹れてくれた紅茶を飲みながら話をしていた。 その時、沢がふんと鼻を鳴らした。 「どうした?」 「いえ、なんかこう甘い匂い…が…逃げて!いや、私が出ます!全様は…全様?」 ガタンと椅子から滑り落ち、身体を両腕で抱きしめる。少しでも気を緩めると手が自分の性器を擦り、あろうことか後ろに指を突っ込みたいと言う思いに引っ張られそうになる。 「沢ー!身体…変…っよぉ!助け…て…ぇ。」 熱と汗と涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔。それを沢の立ちすくむ足にずり寄って擦り付けた 「ぜ…ん様…」 その足を伝うように身体を上げ、目の前に布の上からでも分かる硬くなった沢。 それをそのまま舌でピチャピチャと音を立てて舐める。 欲しい!欲しい!!欲しい!!! うわごとのように喚きながら沢の腰に手をかけ、履いているものを全てずり下ろした。 ぶるんと音を立てて目の前に現れた沢にごくりと喉が鳴る。 何の躊躇いもなくそれを咥え、自分の手で己を扱きながらいつの間にか自分の背中に回していた指は、尻から出る体液によってスムーズに出入りしていた。 「全様…なぜ?αであるはずのあなたに何で…?」 「沢ぁ…俺にこれをちょうだい!早く、早くぅ!!」 沢に向かって腰を突き出しねだる俺に、ついに沢の理性も陥落した。 テーブルのものを手で薙ぎ払い俺をテーブルに上半身だけ突っ伏させると、一気に入ってくる痛みと圧迫感で身体が仰反る。 それでも沢のが欲しくて、それを奥まで咥え込もうと胎内が勝手に動く。 「ぜ…ん様!」 「っくうはぁああああ!もっと!沢、もっと奥ぅ!!ちょうだい!!」 激しい腰の当たる音と俺たちの互いを呼び合う声。そして、俺は叫んでいた。 「噛んで、噛んでぇええええ!」 それが俺をΩ性だとイヤでも自覚させた。

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