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第11話

それから事あるごとに一は俺に付き纏い、番になれと迫ってきた。 今まで、俺と同じように俺の存在を無視してきた一がまるで嘘のように俺にまとわりつく姿。 さすがに周囲も何かおかしいと感じ始めている中で、一は廊下でも部屋でも関係なく俺の身体に触れ、キスを迫る。 そんな所を何人もの人に見られ、ついに俺と一は父に呼び出された。 「一体、お前達は何をしているんだ?兄弟でバカな事を…」 「父さん!俺をこいつと一緒にしないで下さい。俺はこいつとどうにかなんて…そんな事を考えただけで虫唾が走る。」 「ははっ!そう言うなよ、全。父さん、俺は全と番となるつもりだ。俺の相手として、Ω性の全を俺の番にする。」 「おい!一、お前っ!!」 「どう言う事だっ?!全がΩ…?何をバカな事を!話にならん!!」 父さんが一を睨み、ため息をつく。 皆が口をつぐみ、重苦しい時が流れる。 「検査…して下さい。」 一の言葉に足から力が抜けそうになり、震える唇で一の名を悲痛な声で叫んだ。 「一っ!?」 それをしたら…もう逃げられない…。 俺のこの家での後継者としての地位も、αとしての優位性も、全て失くすのか? 「い…やです。俺は検査なんかしたくありません!!俺は、俺は皆が認めるこの家の後継者でαです!!どうか、俺を信じて下さい!!」 それを聞いた父さんの顔色が変わった。一がニヤリとしながらこちらを見る。 「お前の負けだって認めろよ。」 一の言葉に体が熱くなる。 「違う!俺は…俺は違う!!父さん、検査なんかしないで下さい!父さん!!」 俺の必死の訴えも父さんには届かず、その日の内に医者が呼ばれた。 そして検査が行われ、今までは自覚でしかなかった自分がΩ性である事を事実として突きつけられたのだった。

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