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第15話

「一様、もう少しお控え下さい。」 医者の声がする。 「善処する…おい、点滴のやり方を沢に教えておいてくれ。」 ため息と共に分かりましたと言うと、医者は部屋から出て行った。 「全、起きてるんだろう?」 「…あぁ。」 「痛むか?」 「少し…ぅっ!触らな…いでくれ…」 「どこが痛む?」 そう言って、一の手が俺の足をさする。 「くぅっ!いっ!!やめっ!!」 一の腕を引っ張ってやめさせようとするが、一に逆に腕を掴まれ拘束される。 「俺から逃げようなんて考えないことだな…いいか?次は両手も折る。」 ゾッとする事を微笑みながら言う一に口が開かない。 足をさすっていた手が、少しずつ上に向かって這い上がり、股間を擦り上げる。 「ひぃああああっ!」 痛みと快感が入り混じり、悲鳴とも喘ぎともつかぬ声が出る。 「さて、お前に吉報を持ってきてやったぞ!」 擦る手をやめぬまま、一が楽しそうに俺に言う。 「き…っぽう…あぁあああっ」 「やっと父さんに子作りを認めさせた。嬉しいだろう?」 「え?!」 認めさせたって…どういうことだ? 分からないと言う顔をした俺に、一がまったくなぁと言う顔で苦笑する。 「Ωだからっていつでも妊娠はできねぇの。お前は少し、自分の身体の事を調べろよな。」 ため息と共に言われて、かっとする。 「だってそんなの全部、沢がやってくれるは…ずだ…った…から…」 最後の方は蚊の鳴くような声で、口の中で呟いた。 上げていた顔も俯いたまま、またも怒らせたのではと言う恐怖で上げられない。 両足の痛みが身体中をドクドクと鼓動に変える。 「…そうか。」 そう言って、俺の股間から手を離した一に、不思議に思って視線だけ上げると、一の視線が目の前にあって、ビクッと体が跳ねた。 「俺をあんまり怖がるなよ…まぁいい。次のヒートにお前のことを孕ます。父さんはさすがにあまりいい顔はしなかったからな…気が変わらないうちに作らねぇと…全もわかったな?」 恐怖と怒らせたくないと言う気持ちだけで頷いた。 「よしっ!!じゃあ、仲直りだ…全。俺の全。この身体全部、俺のモノだ。全、全…」 うわ言のように名を呼ばれ、一の手が舌が唇が俺の身体に自分のものだと証をつけていく。 痛みと恐怖と快感が俺の身体を襲い、最後には与えられる快感によって、痛みも恐怖も忘れて声を上げていた。 うなじを噛まれ、注がれる体液を胎に感じながら、目を閉じた。 これが次は子供として俺の腹の中に住まうのか…一との子供…嫌だ!父さんはもう一の言うことをなんでも聞いてしまうようだし…誰か俺を助けてくれ!…沢…沢、助けてよぉ!!沢ぁ!! 心の中で叫びながら寝てしまった俺が流す涙を一の手が拭う。 「助け…か。そんなのは甘い幻想だって…分からせてやるよ…なぁ、全。」

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