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第25話
扉が閉まり、先程までのガヤガヤとした騒々しさから突如切り離されたような静けさ。
一瞬耳がキーンと痛くなり、顔が歪む。
ギシッ
普段ならなんて事のない生活音だが、二人の間にある緊張関係によって、思った以上のストレスのかかっていた体がビクッと跳ねた。
「全、拘束されているお前の姿…すっげーヤバい…」
馬乗りになった一の手が俺の身体を下から指でゆっくりなぞっていく。
「んんっ!くぅううっ!んんんっ!」
身を捩り抵抗しても、指は俺の股間をさすり上げ、何度もそこを往復する。
もう片方の手がそのまま上半身に向かい、俺の胸を弄った。
「ひちぃ!ひぁあああっ!ひやっ!んんーーーっ!」
開いたままで固定された口からは涎と喘ぎ声が垂れ流され、俺は俺の声に興奮をし始めていた。
「ひちぃ!ひゃめっ!!ひあああああああっ!」
一の指が口に変わり、俺の股間を歯を立てて擦る。
痛みと恐怖と熱さに、体が強張っていく。それでも痛みに慣れ始めた身体は、それを快楽に変化させ、いつの間にか俺の腰はもっと激しくと動き出していた。
「全、痛いの気持ちいいか?」
一の言葉に頷く。
「ひもちひーー!!ひちぃ!!もっひょーー!!」
閉まらない口から出る俺の言葉に一がハハハと笑って、可愛いなぁと頭を撫でた。
「ひちぃ!それも、それも!!」
撫でられた頭を一の手に擦り付ける。
「なんだ?撫でて欲しいのか?」
うんうんと頷く俺を見て一が問いかけてきた。
「全、俺をどう思う?」
「ひちのこと?好きぃ!!大好きぃ!!」
「そうか…なるほど…ヒートの残りってやつか…」
ぶつぶつと呟く一に俺は自分を放って置かれているように感じて、一の頬を体を少し上げて甘噛みした。
「っつう!何だ?どうした?」
「ヒマ!!」
頬膨らまして怒る俺を見て、一が一瞬目を丸くすると吹き出した。
「ヒートの全、最高だな!最高に可愛い!!これもあと少しかと思うと、少し寂しいな…なぁ、全?」
「ひゃに?」
「お前の本当の気持ちはどっちなんだ?いつもの俺を憎み嫌う方か?それともヒートの今のように俺の愛を受け入れ、俺に愛を与えてくれる方か?なぁ、全?どっちなんだ?」
聞かれても俺には分からなかった。ヒートの今はともかく番である一が好きで大好きで愛してて、それ以外の自分の気持ちなど思い出すこともできなかったから。
「今はひちがひちばん!ひょれひゃあダメ?」
「2番は?」
「ひじわる!!ひちだけだよぉ!俺の全部はひちだけのモノなのぉ!!」
パンパンに膨らませた頬で一に抗議する。
「悪かったよ…じゃあ、全の全部を俺のモノにしてもいいよな?もっと痛くして、ヒートが終わった全に俺とお前の愛の証を見せてやろう?」
痛みを愛を一が俺にくれると言う提案に、俺は目を輝かせて大きく何度も頷いた。
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