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第27話
「くひょっ!」
あまり動かせない足で、気持ちよさそうに眠る一の足を蹴る。
「いてっ!」
蹴られたところをさすりながら一の目が開いて俺を見た。
「おはよう、全。」
「…」
「挨拶くらいしてくれよ。ヒートから戻った後の俺への扱いが酷すぎねぇか?」
「…だったら、あんひゃこと言うな。」
「ん?あぁ、お前への懺悔のことか…そうだな…でも、普段のお前に言っても聞いてはくれないだろう?」
「ひょれは…」
多分一の言う通り、昨夜の話をヒートでない時の俺が聞いたら、いや、聞く気も起きなかっただろう。
「そうだろ?」
俺の困ったような顔を見て笑いながら眉間にできた皺を指で伸ばす。
「こんなに皺寄らせんなよ。ヒートのお前は俺の話を素直に聞いてくれて、それがそのまま普段の全の心に残る。こんなやり方でお前に分かってもらおうなんて、俺はやっぱりずるいな。」
一が俺に向ける悲しそうな微笑みに心がツキっと疼いた。
「もう、俺達の子供を流したいなんて言わないでくれるか?俺の気持ちを分かってくれたか?」
可動範囲に余裕のある腕がつい腹をさする。
それを見た一が俺の手を取ると、手のひらに唇を当てて自分の頭を俺の腹に乗っけた。
「ひち…」
掴んだ手を自分の頭に乗せて静かに瞼を閉じる。
とても優しくて穏やかな時間が俺達の上を通り過ぎて行く。
手を伸ばせばそれはつかめそうなのに、手を伸ばせない。
嫌だ!一となんか嫌だ!!
そう叫ぶ俺の心が伸ばしそうになる手の邪魔をする。
「すぐに分かってくれなんて、無理に決まってる…そう、分かっていても、お前にもこの子にも幸せでいて欲しい。早くこんな拘束具を取り払って、お前と抱き合いたい。なぁ、痛むか?」
一の指が昨夜自分が噛んだ歯の跡を指でなぞる。
ピクッとこめかみが動く。痛みに口に力が入り、噛めない歯に力がこもる。
「後で消毒してやるよ…だがその前に…愛してるよ、全。」
腹に頭を乗せたままで一の手が背中に回る。
「ひゃめろっ!!ひちっ!!」
キュッと力を入れて一の手を拒むが、指がぐにぐにと双丘の間をこじ開けて行くと同時に股間を舐める一の舌に先端をグリグリと刺激され、足が開きそうになっていく。
「ひゃめろ!!ひぁあああああっ!!んっ!ひゃだ…っめろ!!あっ!ひあっ!!」
一の腕が俺の両足の間に入り、二つのボールを転がしていく。何ヶ所も同時に刺激されついにぶるぶると震えていた足がパカっと倒れるように開いた。
「もうヒートは完全に終わったみたいだな…こういう抵抗して嫌がる全を組み伏せていくのも俺は好きだぜ。」
拘束されて動かしたいように動かせない俺の身体に一が跨る。指を入れるのかと思って再び身体を硬めて準備をしていた所に突如、一のモノがいきなり奥まで皮膚を引き裂くようにしてミチミチと音を立たせて入ってきた。
「ひぃっ!!やああああああああああっ!!」
俺の出した絶叫と同時に扉がバタンと開き、沢が杖を放り投げて転がるように入ってきた。
視線がぶつかった俺を凝視する沢に、悲鳴をあげる。
「みないへーーー!!」
「おい、沢…扉を閉めて出ていけ!
一の言葉に沢の身体が跳ねて、杖を拾うと扉に静かに向かっていった。
バチン
「ひあっ!」
バチン
「あぁあああっ!!」
バチン!バチン!!
「ひちっ!!ひやーーーーーー!!」
腰と腰がぶつかる音とそれに乗っかるようによがり声を我慢できずにあげる俺。
沢の身体が震えながら一歩一歩ゆっくりと扉に向かう。
動かない足を引きずって、できる限りこの部屋から早く出ようとするが、それが逆に沢の体をから回りさせ、足がもつれて転んだ。
「おい!沢!!もう少しで全がイくぞ!!中が俺を嫌がってもきゅうっと締め付けてきてるからな…って、お前は言わなくても分かってる、か…沢、見ないで出ていくのか?」
すみませんと扉まで這うようにたどり着いた沢が、ドアノブを握り杖を頼りに立ち上がると、一礼して俯いたままで外に出て行った。
「ひぃいいいいいああああああああっ!!!」
俺の絶叫が沢を追いかけるように廊下に向かって閉まり切る扉の隙間に吸い込まれて行ったと同時にパタンと扉が閉まった。
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