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第47話

「全様…なるほど。これはまた一様とは違う甘く良い香り。双子でも全く違う匂いなのですね…さて、全様のヒート、この場で楽にして差し上げられるのは私だけですが、いかが致しますか?」 沖が近付いて匂いを嗅ぎながら囁くが、何を言っているのかまったく分からず、隣で今もうなじに手を当てたままでガタガタと震えている一を見つめる。 「ヒートはαの精子で治るって…だから一が俺を抱いてくれれば…」 視線は一に向けたままで沖に答える。 すると沖はそれはもう無理ですよと笑って、俺をうつ伏せにして腰を当ててきた。 ビクッと身体が反応するが、それは沖の言う通り、先ほどまで感じていた恐怖からではなく、期待によるもの。ともかくαの沖の腰とくっつきたくて、その精子が欲しくて、むしろ俺の方から沖のモノを体内に入れようと無意識に腰を揺らしてねだるほど。 「全様、私のものになりますか?そのうなじの歯形を私の歯で上書きし、あなたと一様を私の番としてもよろしいですか?」 ぐぐぐっと沖のモノが俺の中に入り、一とも沢とも違う所を擦られ、熱くなっていく身体。 もっともっとと奥深くに沖を導き、俺はともかくこの熱を発散したくて、沖の腰を掴んで奥深くを激しく突いてくれと身体と言葉でねだっていた。 それを肯定の意とした沖が俺にいい子ですねと囁く。 「よろしいのですね?あなたを私の番にしても…私の、全様…」 うなじに近付く沖の口。歯の当たる感触を皮膚に感じ、ガリっと沖の歯が痛みと共に一気に突き破る。 熱い痛みに、喘ぎ声をあげていた口から、苦痛による呻き声が突いて出た。 「くぅっ!うぅあああああああっ!」 首よりも薄い手の甲から流れ出る血。 何をしているんですか?!と、焦って俺から離れようとする沖の腰を掴んだままで俺は首を振って、沖に先を促しながら、話した。 「お前と番にはなれない…もし、一との番が解消されたのなら、俺のうなじに歯を立てていいのは沢だけだ…今でも沢が俺を番にしてくれるならな…だから、今だけだ…お前を受け入れるのは、この一回だけだ…ぁあああああああっ!」 「本当にあなたは面白い…一様にはない強さをお持ちのようだ。それなら、あなたが私にそのうなじを差し出すまで、私はあなたをどこまでも追い詰めてみせましょう。ふふふ…私はなかなかにしぶといですよ。」 「何を…っ!俺はお前を受け入れないと言ったんだ!お前の番になんか…くぅっ!」 腰をグッと突かれて我慢できない声が漏れる。それをニヤニヤとした顔で見る沖に心底嫌な気持ちが湧き起こるが、それでも身体は沖から離れる事は出来ず、揺れ動く腰も止められない。 それを見て、沖がお可哀想にと全くそうは思っていない口調で俺に語りかけてきた。 「Ωのヒートの辛さ、私の、αの精子でしか治せないと言ったはずですよ…お腹の子達が産まれるまで、あなたにはずっとヒートのままでいさせろと、αの時の一様からの命令は守らなければなりませんからね。しかし、その一様にはもうあなたを治す事はできません…今は私だけがあなたの辛さを治せる唯一のαという事をお忘れなく。さて、いつまで私なくして我慢ができるのか、よくよく見させていただきますよ…しかし今夜は私もあなたの甘美な香りに我慢の限界。その身体に私の精子を存分に注ぎ込んで差し上げますよ…一様はもう、今夜はΩになったショックで、これ以上は無理なようですからね…二人だけでたくさん楽しみましょう。」 一がΩになった?! 訳のわからない言葉に頭が考えをまとめようとするが、一瞬止まっていた沖の腰が急に激しく動き、俺の身体も先ほど見ていた木々の葉のように激しく揺れて、沖の発した言葉も考えも全てが散っていった。 「全…全…俺の…全…」 泣きながら俺の頬に伸びる一の手をバシンと引っ叩き、俺はまるで一に見せつけるように沖に何度も突かれ、何故だか止まらない涙を流したままで喘ぎ声を上げる俺を見続ける一の目をじっと見つめたままで、体内から溢れ出るほどの沖の精子を受け入れ続けた。

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