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第56話

ヒートを人工的に起こして何度も子作りを果たそうとする沖だったが、今のところそれが叶うことはなかった。 「Ωがαの子供を妊娠しなかったら、Ωには何の意味もない!あなたは欠陥品なのですか?なぜ私との子を、αの私の子を妊娠しないのですか?全様!」 月に数度だった薬によるヒートでは子供はできず、焦った沖はそれを週に数度にし、それでも俺にはまったく妊娠の兆候は表れず、結果として毎日ヒートの状態となっていた。 それでも俺には一切子供の声は聞こえず、沖の焦りはピークに来ていた。 「もっともっと俺に沖の精子ちょうだいよ。濃いのいっぱいちょうだい!」 ヒートばかりで沖の体力も限界なのか、一晩に何回も注がれていた精液が最近では一晩に一回くらいになり、それでは取り切れない身体の熱さに沖に懸命にねだる俺を沖は蔑むように見下ろす。 「今夜は仕事がありますので…こちらで勝手におやりください。」 ベッドにポンと放り投げられた、前に入れられた一のモノに似た張り型。 「でも、これじゃあヒートの熱が…」 手に持って既に入れようとしながらも、沖に向かって文句を言う俺に沖は下ろした下半身の身支度を済ませると、妊娠しなければ精液の無駄打ちですから…そう言って、ベッドの上でいやらしく腰を振って自分で動かしながらよがり声を上げている俺を、汚いモノでもみるかのような目で見ると、それを覆い隠すように落ちていた布を拾い上げて、そのまま俺の上に投げた。 「私の目の見えないところでやってくださいますか?それと、しばらくはこちらに来ません。あなたも私もヒートという特殊状況に慣れてしまい、それが妊娠を妨げている理由かもしれませんので、しばらく子作りはやめましょう。」 沖の言葉に従って、布に隠れようとモゾモゾとしていた俺は沖の話に布から顔を出した。 「じゃあ、俺のこの熱はどうしたらいい?沖の精液がもらえなかったら俺、いつまでも熱いの抱えたままでいなきゃいけないんだろ?やだよ!沖、助けてよ!なぁ、番のお前だけを愛しているんだ!なぁってば!」 伸ばした手を振り払われ、俺はじっと沖を見つめる。 「妊娠をしないと言うことは私を番として受け入れてはいないと言うことなんではないですか?愛してると言ってもそれは所詮はヒート時の愛でしかない…そうすると、あんなに嫌いだ嫌だと言っていた一様の子供はすぐに妊娠したのですから、結局は全様も一様を愛していらっしゃったと言うことなんでしょうかね?」 「違う!俺は沖だけを愛しているんだ!だから、この熱を取ってくれよ!なぁ、沖ぃ。」 布を取り払って沖に手を伸ばすが、沖はまるで触るなとでも言うようにベッドから離れて扉に向かって行く。 「心が邪魔をして妊娠を拒絶するなんて、それしか生きる意味がないΩのくせに…所詮はαのおこぼれでしか生きていけないΩのくせに…」 沖の言葉が俺の身体に何百何千もの針のように落ちてくる。痛くて辛くて、でもそう言われても俺には沖しかいなくて、沖を愛していて… 「沖、ごめんなさい。ごめんなさい。だからどうか俺に沖の精液をちょうだい…俺、頑張って妊娠するから…沖の子供を作るから…ちょうだいよぉ!」 ベッドから下りて沖の足に縋りつこうとする俺の手を、沖の足がダンと踏みにじった。 「ぅあああああああっ!」 一と番の時には、これ以上の痛みもたくさん与えられてきたが、それは痛みとは別の何かがあって…でも、沖のその足の下で悲鳴を上げている手の痛みは、それとは違うただの痛みで、沖の足の下から引っ張り出して床でのたうち回る俺は沖に助けを求めた。 「その程度で何をされているんですか?さっさとベッドに戻りなさい。いいですか?あなたはΩだ。αの子を宿すしか能のないΩなんだ。分かったらさっさと私の子を、いいえ、私を受け入れる覚悟をしなさい。もう、これ以上は私も待ちません。次にできなければ…あなたも一様と同じ道…この家のための金となって貰います。」 「沖!?」 驚きと恐怖に沖を見上げる俺に沖の目は何の感情も示さず、そのまま無言で部屋から立ち去った。 「だって、俺は沖を愛してて、だから子供だって欲しいって思って…なのに子供ができないんだ…俺は沖を受け入れてるのに…できないんだ…」 床に落ちた布にくるまり沖の言葉に涙を流し続けていたが、そんな時でもお構いなく襲ってくるヒートの熱に我慢できず、俺は突き刺したままの一のモノによく似たそれを動かした。 「んっ…これ…っもちいい…沖の…より…これ…の方が、ぴったり…あぁっ!やぁっ!手が…手ぇ止まん…ない…んんっ!あぁっ!もっとぉ…これで…奥まで…んんっ!ぁあああああああっ!」 気持ち良すぎて何度も何度も果てながら、愛してるよと囁く誰かの声が聞こえた。 この人となら子供が作れるのに…俺とこの人の子供…俺と…俺とい…ちの…一…一は?俺の運命の双子…一はどこ? 流れる涙、消え去って行く子供の泣き声。寂しそうな顔の一に抱きつきながら俺は何度も絶頂を迎えた。

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