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第100話

「んっ…なぁ、もう…あっ!噛んでく…れってば…あぁああ!」 すでに胎は一の精液で満たされ、その腰が動く度にあふれ出してシーツを濡らしていく。 それでも一はまだうなじに歯を立てようとしない。 「はや…く、番にして…あっ!ダメ!また…イ…くぅっ!!」 拘束を解いたままの腕で一の背に爪を立て、足を一の腰に絡みつかせる。 「ダメって言いながら、俺の腰を離さねぇのは全の方だろう?」 言われてかっと顔が熱くなり、急いで足を動かそうとするが、一の手がそれを掴んで止めさせた。 「ごめん。できればこのままでいてくれ。俺と離れたくないって思われているみたいで嬉しいからさ…」 「あっ…」 一のその言葉で一を離したくないと言う俺の願望が無意識に一の腰に足を絡めさせていたと認識してしまい、身体中が熱くなる。 「やだ…恥ずかし…んっ!」 そんな俺の反応を見て、一が嬉しそうにキスをする。 「俺はすごい嬉しい!全が素で俺を求めてくれるの、夢みたいだ。」 「うぁっ!これ以上…お…っきくすん…なぁあああーーーっ!」 俺の中でミチっと音がして、痛みと同時に快楽の波が押し寄せ、俺は泣きながら一にしがみつく。 「やだぁあああ!また…イっちゃ…ぁあああああああ!!」 ググッと絡む足に力が入る。 「もっともっと俺を受け入れてくれ!もっともっと俺と一つになってくれ!全!!」 「なるから!受け入れるから!!噛んでよぉ!!!」 ずんと頭まで響くほどに突かれ、また熱い体液が俺の中を満たしていく。 「全が溺れるくらい、たっぷり注いでやるからな。お前に我慢させられた分、しっかりと受け入れてくれよ。」 「もう…無理ぃいい!早く…早く、噛んで…いっ!やぁああああああああ!!!」 力の入らなくなった足を一が掴んで腰を動かし続ける。オちそうになる意識を懸命に手繰り寄せるように手が空をかく。 「オちたら、噛まねぇぞ。」 「いじわ…もっ!うごかな…い…で…んぁっ!んんっ!うご…かない…あっ!!あーーーーーーーっ!!」 身体中がピンと突っ張って、一気に力が抜ける。同時に意識が深い闇に吸い込まれていくのを、ぬっと出て来た手に掴まれて引き戻される。 「あっぶねぇ!」 「いちぃ…まだぁ?」 朦朧とする意識を覚醒させるかのように突然、一が乳首に歯を立てた。 ガリっという音と共に熱くなる身体。痛みに絶叫するが、一は歯を食い込ませていく。 「離して!!痛い!痛い!やだ!!千切れちゃう…やぁあーーーーーっ!!」 「覚めたか?今度、オちそうになったら、本気で噛みちぎるぞ!」 「だったら早く噛んでよ!うなじに早く!!」 俺の言葉に一が目を伏せた。 「怖いんだよ。」 「怖い?」 思いもかけない言葉に耳を疑う。 「怖いって、何が?」 俺の問いかけに、一が俺から体を離してベッドに腰掛けた。 「一、どうしたんだよ?」 俺も重い体を起こして隣に座る。 「俺さ、本当にαに戻れたのかな?全のうなじを噛んで番にできるのかな?」 「今更、なんだよ?!だって一は俺の匂いが嗅げていただろう?俺のヒートも一の精液で落ち着いてる。全部、一がαって言う証じゃないか?」 「でも、αから後天的にΩになった奴はいても、それからまたαに戻った奴はいないって沖が言っていたんだ。」 一の言葉に俺の心もざわつく。 「でも!!」 それでも俺には一がαに戻っていると言う、訳のわからない自信があった。 「それはただ単に番の解消をしなかっただけかもしれないだろう?α同士が番になるなんて、しかもその内の一人がΩに変わるなんて、相当深く愛し合っていなければできない事だ。一はそれとは違う。弱みにつけ込まれ、騙されて番に、Ωにされただけ。きっと初めての番解消が一なんだよ!!」 俺が一気に捲し立てると、一はそれを唖然とした顔で聞いていたが、ありがとうと俺の額に唇を当てた。 「だけどな…やっぱり怖いんだよ。このままでも、例えΩのままでも全のヒートも落ち着かせられるし、子供も作れる。だったら…このままでもいいんじゃないか?」 一が俺から視線を逸らして言葉を続ける。 「Ω同士ではさすがに番とはなれない。だが、寒達のようにたとえ番と言う形を取らなくても一緒にいられれば俺はそれでもいいと思っているんだ。」 一らしからぬ弱気な発言に、俺の心の底から怒りのような気持ちが湧き上がって来た。 「いい加減にしろよ!!お前は絶対にαだ!αに戻ってる!!双子の俺が言ってるんだ!双子の俺がそう感じているんだから間違いない!!いいか?!俺は一と番になりたいんだ。他の関係?そんなの俺は嫌だ!!もし、お前がΩのままなら、俺はお前よりも強くなって俺がお前のうなじを噛んでやる!それでもいいのか?!」 俺のあまりの剣幕に一が俺を呆然と見つめていたが、ぷっと噴き出すとゲラゲラと笑い出した。 「何がおかしいんだよ?俺は怒っているんだからな!!」 ふんと横を向く俺を一の手が背中から抱き締める。 「ごめんな、全。俺、お前にだけは抱かれたくないわ。」 ボンッと音がするほどに全身が一気に熱くなる。 「…っんだよ、それ!!」 「だから、俺がお前を噛む。」 くわっと開いた口。うなじに当てられた歯の感触。圧がかかり裂かれていく皮膚。ツーっと首筋を伝っていく暖かい体液を指で拭いながら俺は心の中で呟いていた。 俺がお前をαにしてやる!

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