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第103話
「あ…夕?夕!」
動かないままの夕のそばに寄ろうと一の腕の中でもがく俺に突然一が腰を突き立て、準備のしていない俺は悲鳴を上げて体をのけぞらせた。
「ひぃいあああああああ!」
夕が倒れたままでいるギシギシと音を出して揺れるベッドの上で、前のめりに逃げようとする俺の腰を一が逃すまいとして掴む。
「やぁあっ!やだ!や…っ!!」
助けを求めているのか、それとも心配してなのか、自分でも分からぬままに夕に手を伸ばすと静かに浮かんでいく夕の体。俺の見つめる前で寒の手によって夕が抱き上げられた。
そのまま寒がベッドから降りつつ、俺の追い縋る手を無視して一に視線を送ると静かな声で尋ねた。
「一様、やり方はお分かりになられましたか?」
「あぁ、多分な。だが、あれだけではまだ少し分からない部分がある。夕が落ち着いたら、また見せてくれ。だが…全のこの嫌がりようは仕置き確定かな?全、どう思う?」
「やめ…痛…いのや…だ…」
夕のされていたのを思い出して青ざめた俺を見た一が寒に頷く。
「何事も見るより慣れろっていうからな。」
一が俺の胸に手を這わせて骨を掴む。
「ひあっ!やだ!!やだぁ!!」
ぞくっと背筋に悪寒が走り、危険だと頭の中でサイレンが鳴り響く
「夕、もう少し辛抱していて下さい。」
仕方がないというようにため息をついた寒が夕にそう囁くと、再び夕をベッドに寝かせた。何かが始まるんだという二人の空気に脳内のサイレンは先ほどよりも大きく響き、その音に追われるように必死で逃げようとするが、一は易々と俺の体を抱き寄せて座らせながら自分の方に向かせる。そのまま今度は覆いかぶさるようにしてベッドに寝かせられた。
最初こそ何をされるのかを予感していやがり騒いでいた俺だったが、先程までの激しさが嘘のように一は俺の声の我慢ができない所ばかりをズンズンとゆっくりと突き、擦り、俺はその気持ち良さに段々と腰を浮かせていく。されるだろう事を忘れてしまうほどの優しさで俺を追い詰めるようにそこばかりを責める一に俺は堪らず、隣に倒れている夕のことも忘れて甘くとろけた声を出し始めた。
「あっ!ぁああっ!んっ!くぅっ…ん!はぁああっ!あぁっ!あ…ん…んん!」
感じるままに声を出し、びくんびくんと腹に力が入る俺の胸に一の手が置かれ、俺の肌をマッサージするように優しくさする。
「気も…ち、い…ぃ…」
一の顔を見つめて甘く切ない声を出す俺に、そうかと言いながら一が寒のいると思われる方をチラと見た。
俺からは寒がどうしたのかは見えなかったが、俺が覚えているのは一に突かれ続けた俺がイきそうになった瞬間に、胸に感じていた手に一気にかかる圧力と、のけぞらせた俺の体の中で聞こえた骨の折れる音。
「気持ちいいだろう?全…俺の番。」
聞こえた一の声に何度も頷き、熱い痛みと交わった快感に絶叫しながら意識を失った。
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