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1.ミオとの出会い(2)

 俺とミオの意思が一致したこともあり、そこからはトントン拍子に話が進んだ。  申し出をしてから里親に認定されるための研修を経て、無事に里親としての資格を認められた俺は、晴れてミオを二LDKの我がマンションへと迎え入れることができたのである。 「おはようミオ。よく眠れたかい?」 「うん!」 「そっか、そりゃよかった」  そう言って俺はミオの頭を撫でる。 「でも、義弘お兄ちゃん」 「お兄ちゃんでいいよ」 「うん。お兄ちゃんはソファーで寝てて、体は痛くならないの?」  ミオは体を起こした俺の隣に座って、見上げるように尋ねてきた。 「平気だよ。……でも、そろそろ新しいベッドをもう一つ買わなきゃだな」 「ねぇ、お兄ちゃん」 「何だい?」 「今あるベッドで、ボクと一緒に寝るんじゃだめ?」 「えっ。い、一緒に?」 「うん。ボク、一人じゃさみしいの」  実を言うと、新しいベッド自体は必要ではなかった。今あるベッドは大人二人が寝てもまだ余裕がある大きなものを買っていたので、ミオと一緒に寝ることも不可能ではない。  ただ、そうすることを今日まで俺自身がためらっていたのだ。  ミオが男の子だということは頭では充分理解しているのだが、ミオの外見や声、服装、普段のしぐさなどを見ていると、どうしても女の子を意識してしまい、ついつい距離を取ってしまうのである。  そういう事情もあって、今日まで、あまりまともな会話もできなかったのだ。  世の中には〝男の娘〟という、限りなく女の子に近い男というジャンルがあるのだが、まだ十歳のミオはさしずめ自覚のない〝ショタっ娘〟という表現が妥当だろうか。  そんなショタっ娘のミオと一緒のベッドに入ると、何らかの過ちを犯してしまいそうな気がして、それが怖かったのである。 「あのぅ、えーと……」 「ボクと一緒じゃ嫌?」  ミオはそう言って、目を潤ませた。 「そ、そんなことないよ! 嫌だなんてとんでもない」 「じゃあ、一緒に寝てくれる?」 「……うん」 「ありがとう、お兄ちゃん!」  その返事がよほど嬉しかったのか、ミオは俺に抱きつき、頬ずりをして甘えてきた。  うーん、かわいい。  この子はやっぱり子猫のようだ。

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