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4.記念日(2)
「ねぇお兄ちゃん」
「ん?」
「お兄ちゃんが初めて小学校に行った時は、やっぱり緊張した?」
「そうだなぁ、俺なんかは特に人見知りな性格だったからね。緊張もしたし、クラスメートと仲良くなるまでに時間がかかったよ」
「そうなんだー」
ミオが意外そうな顔をする。
「ミオは今日から打ち解けられたみたいだし、明日からも楽しくやっていけるといいな」
「うん、ボク頑張るよ」
そう言って、ミオは俺の腕を両手で抱きしめた。
いろいろと気を揉む一日だったが、ひとまずミオが無事に学校生活を送っていけそうだという事が分かったわけだし、これで俺も明日からは、安心して仕事に集中できるだろう。
「ねぇねぇお兄ちゃん、お買い物の袋持ってもいい?」
「えっ? これ結構重いよ」
「いいよ。持たせて! ボクもお兄ちゃんのお手伝いがしたいの」
そう言って、ミオは俺が手に下げていた買い物袋を受け取った。
「わ。本当に重いね」
「だろ? 何しろ三日分くらいの食料が入ってるからね。だから無理しなくてもいいんだぞ」
「んーっ」
ミオは両手で買い物袋を抱きかかえようとしたが、さすがにその細腕では無理だったのか、地面スレスレでぶら下げるようにするのが精一杯のようだ。
「ほんとに大丈夫か?」
「大丈夫って言いたいけど無理かも……」
「はは。じゃあ半分こにしようか」
「半分こ?」
「そ。ミオと俺で、この買い物袋を半分ずつ持つの。それならミオもお手伝いできるだろ?」
「うん。じゃあ半分こするー」
どうやらミオは、無理なものは無理だということをスパッと割り切れる性格らしい。
もっとも、そっちの方がハッキリしてて分かりやすいし、何より自分に正直なのはとてもいい事だと思う。
こうして俺たちは重い買い物袋を半分ずつ持ちながら夜道を歩き、八時前には自宅のマンションに帰り着いた。
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