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7.テストの結果(1)
日にちが経つのは早いもので、ミオが小学校に通い始めてから、今日でちょうど一週間になる。
俺に再会するまでは大人に対して心を閉ざしていたミオだが、さすがに子供にまでは不信感を抱いていないらしく、今ではクラスの輪の中にうまく溶け込めているとのことだ。
仲のいい同級生の友達もたくさんできたと聞き、俺はひと安心した。
ただ、その友達の男女比率はどちらかというと、女の子の方が高いらしい。
これは単純に女の子にモテているのか、はたまたミオが持つ女の子っぽさが仲間意識を生んだ結果なのか。
その辺の事情は俺には分からないが、とにかく、男女別け隔 てなく友達を作れたのはいい事だと思う。
何しろ俺が小学生だったころは、男友達とばかり遊んでいて、女っ気なんてゼロだったんだから。
だから今の俺があるんだろうなぁ。
と、そんな非モテ野郎になってしまった男の事はともかく、今、俺が抱えている気がかりは勉強の方だ。
今日は、ミオが学校に編入して以来初めてのテストがあると聞いていたのだが、その結果が気になる。
ミオは勉強が得意だと言っていたからそこまで大きく心配はしていないが、万が一、テストの点数が芳 しくなかったとしても、俺はミオを叱ったりはしないつもりだ。
うっかりミスや不得意な問題は誰にでもあるわけで、それをくどくど責めても仕方がない。
どうしても分からない部分があれば二人で一緒に考えて解けばいいのだし、とにかく正しい答えを導き出して理解させるのが、一番いい復習のやり方だと思うのである。
特に残業するほどの仕事量でもなかったし、ミオの初めてのテストの結果を早く知りたいというのもあって、今日は定時で仕事を切り上げた。
帰りがけに寄ったスイーツショップで、イチゴの乗ったショートケーキをおみやげに買ってみたんだが、あの子は気に入ってくれるだろうか。
「ただいまー」
「あ。お帰りなさい、お兄ちゃん!」
ミオは俺の声を聞くなり、奥の部屋から玄関まで駆け出して俺に抱きつき、頬ずりをしてきた。
すりすり、すりすりと、夢中になって甘えている。
その甘えっぷりは、まるで親猫の帰りを待ちわびていた子猫のようだ。
こうやってミオが俺の帰りを出迎え、抱きついて甘えてくるのは、いつしか我が家の恒例行事になっていた。
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