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8.初めての体育(2)

「ね。ドッジボールって何するの?」 「うーん」  俺は少し考え込んだ。  ドッジボールについて、できるだけ分かりやすく、かつ、ミオに苦手意識を持たせないように説明するにはどうしたらいいのか。 「まぁ何というか。平たく言えば、ボールのぶつけ合いをするんだけどね」 「え!? 人にボールをぶつけるの?」  ミオが驚いて起き上がった。  まずい、あまりにも平たく表現しすぎて、このままではドッジボールが野蛮で粗野な競技だと勘違いされかねない。 「あ……いや。えーとな、まず二つにコートが分かれてるわけだよ。そこに人が入ってさ」  俺も体を起こし、身振り手振りを交えてミオに説明する。 「これくらいの大きさのボール一個を投げて、反対のコートにいる人に当てるんだ」 「そんなひどい事するの?」  難しいな、言葉とジェスチャーだけでは、どうにもうまく伝えきれない。  案の定、ミオはドッジボールに対してよくない印象を抱き始めているようで、いかにも不安そうな顔をしている。 「そうだなぁ、今の話だけを聞くとひどい事かもね。でも投げられた方も、やられっぱなしじゃないんだよ。ボールを避けてもいいし、落とさずにキャッチすればセーフだからね」 「落としたらどうなるの?」 「落としたら退場だよ。内野から外野に移動して、内野のサポートをするんだ」 「内野と外野があるんだね」 「うん。それで、外野の人が内野にいる相手にボールを当てて落とさせれば、また内野に復帰できるんだよ」  もっともその復帰に関しては、一度退場した人は再復帰できない、などのルールも存在するため、最初から外野にいる人限定かも知れない、という説明を付け加えておいた。 「じゃあ、外野の人がボールを当てられなかったら、ずっと内野に入れないままなの?」 「そうだよ。それから、外野の人はボールを当てられる心配がないから、内野にいるよりは気が楽かな」 「そうなんだ……じゃあボクずっと外野にいようかなぁ」 「ははは」  と笑ってみたが、当のミオは本気で外野に常駐する事を検討しているようだ。  こんな事を考えるのは本当はいけないのかも知れないけど、ぶっちゃけた話、その方が俺も安心ではある。

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