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13.憧れのウサちゃんパーク(11)
「ん。やっぱりカツカレーに外れはないな」
ミオがニンジンをウサギの顔に加工している間、俺はカツカレーを半分以上平らげていた。
「ハンバーグはおいしいかい?」
「うん。口の中でじゅわーって汁があふれてきて、すごくおいしいよ。お兄ちゃんも食べる?」
「えっ? 俺はいいよ。まだカツカレーがあるから」
という声が聞こえていなかったのか、ミオはハンバーグを一口サイズに切り、フォークに刺してこちらへ向ける。
「はい、お兄ちゃん。あーんして?」
「ミオ、実はもうお腹いっぱいで――」
「早くぅー」
「わ、分かったよ。あーん」
俺はミオが切ってくれた一口サイズの和風ハンバーグを、あーんして口に運んでもらう。
「どう?」
「うん。肉汁がたっぷりだし、ソースとの相性もいいからおいしいよ」
「でしょっ」
と言ってミオはニコッと笑った。
咀嚼 しながら視線を斜め前にやると、他のお客さんが微笑ましそうにこちらを見ていた事に気づき、思わず顔が真っ赤に火照ってしまう。
こういうのって、本来は彼女とイチャついてる時にやるコミュニケーションだよな。
その彼女役がミオだった事に関しては、俺には何の不平も無いし、むしろこんなかわいいショタっ娘であってくれて嬉しいくらいだ。
ただ、そのイチャイチャを外出先でやるのは、恋人付き合いの経験が浅い俺には小っ恥ずかしかったのである。
でも、ミオは好意でやってくれているんだもんな。
もう開き直って、心の中で自慢しちゃおう。
どんなもんだい、うちのミオは、こんなにかわいい男の子なんだぞ。
そんなかわいい子から、あーんして食べさせてしてもらえるんだから、俺はほんとに幸せ者だ。
「お兄ちゃん、オレンジジュースも飲む?」
「さすがにそれは遠慮しとくよ……」
――園内レストランでしばしの休憩を取った俺たちは、腹ごなしに〝ウサギさん資料館〟へと向かった。
ここではウサギにまつわる歴史や各種知識、さまざま品種の剥製 などが展示されている。
資料館は撮影OKとの事だったので、とりわけ大きい品種である〝ブラン・ド・ブスカ〟というフランス原産のウサギの剥製と、ミオのツーショットを写真に収めた。
このブラン・ド・ブスカは、〝ブスカの白いウサギ〟という意味らしく、フランスにあるブスカという地方で産まれたウサギである事から、その名が付いたのだそうだ。
見た目は日本白色種を二まわりくらい大きくした感じで、その体重は何と七キロにまで上るらしい。
こんだけ大きいと、そのサイズに比例して、毎日食べさせるエサの量が大変な事になりそうな気がする。
そう考えると、とても日本じゃ飼えそうにないなぁ。
その後は約束通り、また見たがっていた世界のウサギさんステージへと戻り、しばらくさまざまなウサギを観賞した。
ミオもウサちゃんパークの魅力を堪能できて、実に幸せそうだ。
土曜日という事もあってか、さほど混雑はしなかったし、今日連れてきたのは正解だったな。
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