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13.憧れのウサちゃんパーク(12)
「あー、楽しかったぁ」
ミオがうーんと背伸びをする。
「最後に、売店でおみやげでも買って帰ろうか」
「うん。何があるのかなー」
施設の出口付近にある売店に足を運ぶと、そこでは、ウサギにまつわるグッズがところ狭しと陳列されていた。
ウサギのキーホルダーやマグカップ、ニンジンを練り込んだお菓子、などなど。
その中でもやはり目を見張るのが、ウサギのぬいぐるみだ。
手のひらサイズのお手頃なものもあれば、ミオの体半分が隠れるほどの特大ウサギも置いてある。
「ミオ、何か欲しいものある?」
「んーとね。ボク、このぬいぐるみが欲しいな」
ミオは、その小さな体で抱っこできるくらいの、ロップイヤーのぬいぐるみを手に取った。
「ミオ、そのウサギ好きなんだね」
「うん。これを見て、ウサちゃんの事を思い出したいんだ。それとね……」
「それと?」
「お家でお留守番してる時は、このウサちゃんをお兄ちゃんだと思って抱っこするの」
「ミオ……」
その言葉を聞いた次の瞬間、俺は、ミオの体を強く抱きしめていた。
いくら会社勤めだからとはいえ、俺が留守の間は、家で留守番をしているミオに、一人でさみしい思いをさせていたのだ。
それでも、ずっと俺の事を考えていてくれるその健気さに心を打たれ、申し訳なさで胸が締め付けられ、気がついたら、ミオを抱いていたのだった。
そして俺はミオの耳元で、「ごめんな」と、ささやくような声で謝っていた。
それを聞いたミオは、笑顔を作りながらも目にうっすら涙を浮かべ、俺の体にそっと頬を寄せる。
「俺、もっともっと、ミオと一緒にいられるように頑張るからな」
「うん……ありがとう。大好きだよ」
俺はミオの気持ちに応えるべく、ロップイヤーのぬいぐるみを買い、そのついでに、ニンジンのお菓子と、面白グッズの〝ニンジンスティックペン〟も購入した。
中身は何の変哲もない赤色のボールペンなのだが、その中身を包んでいるガワが、細長いニンジンを形どっているのだ。
一本はミオのお勉強用、そしてもう一本は俺の仕事用として、お揃いのものを買ったのだった。
――そして帰り道、車の中にて。
「お兄ちゃん、今日はすごく楽しかったよ。ほんとにありがとね」
助手席のミオは穏やかな笑顔で、買ったばかりのぬいぐるみを大事そうに抱っこしている。
「俺も、ミオとずっと一緒にいられて楽しかったよ。また来ような」
「うん。また、いっぱいウサちゃんと遊ぼうね」
俺たちは、二人の絆をより一層深めてくれたウサギたちに感謝しつつ、まだ日が落ちないうちに帰路についたのだった。
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