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15.ショタっ娘と妊娠(5)

「ねぇお兄ちゃんっ」 「……ん?」 「見てみて。ほら、赤ちゃんができたよー」  頭を抱えて悩んでいた俺は、ミオの声がする方を振り向く。  すると、そこではミオがシャツごとお腹を膨らませて、ニコニコしていた。  その様、まるで妊婦のごとし。  もっとも、その〝ショタっ娘妊婦〟のタネ明かしは至極簡単だ。  単純に、この間行ったウサちゃんパークで買ってあげたぬいぐるみを、シャツの中に入れているだけなのである。 「ウサちゃんも、お兄ちゃんに守って欲しいって言ってるよ」 「って、ウサちゃんはミオの赤ちゃんなのかい?」 「うん。ボクがお兄ちゃんのお嫁さんになったから、ウサちゃんが赤ちゃんになったの」 「待った待った。俺たちはまだ結婚してないじゃん」 「じゃあ今からするー」 「あのなぁ。おままごとじゃないんだから、そんなに簡単にできるもんじゃないの」 「むー」  ミオがつまらなそうに口を(とが)らせる。 「どうしたら結婚できるの?」 「え? そうだなぁ、ミオがもう少し大きくなったら、かな。とにかく今は結婚できないんだよ」 「そうなんだ。じゃあボクが大きくなったら、お嫁さんにもらってくれる?」 「俺が?」 「うん。お兄ちゃんが」 「ミオ。『大きくなったら』って、いつの事のつもりで言ってるの?」 「えっと、来年の誕生日かなぁ」 「おいおい。そりゃちょっと早すぎないかい?」 「そんな事ないよー」 「ミオ、悪いけど俺は……」 「お兄ちゃん、ボクじゃ……ダメ?」  あぁ、その〝澄みきった瞳で見つめる攻撃〟やめてくれー。  ついさっきまで鬼にしようと決めた心が、みるみるうちに浄化されてしまう! 「いや、その、ダメだとは言わないけどさぁ」 「じゃあボクをお嫁さんにしてもいいでしょ? おねがーい」 「わ、分かったよ。お嫁さんにするよー」  ミオの青く澄んだ瞳で見つめられ、おねだりまで加わわった事で、俺はすっかり観念してしまった。 「ほんと? 約束してくれる?」 「ああ。約束もするから」 「ありがと、お兄ちゃん! 大好きだよっ」  ミオは嬉しさのあまり、シャツの中にぬいぐるみを入れたまま抱きついてきた。  まいったなぁ。妊娠が何かを教えるだけのつもりだったのに、あろうことか、ミオと結婚する約束までしちゃったよ。  もっとも、ミオはその場の軽いノリで言ってるだけだと思うし、仮に本気だったとしても、ある程度時が経てば、すっかり忘れているだろう。  まぁでも、結婚相手がミオのようなかわいいショタっ娘だったら、今すぐお嫁さんにもらってもいいかな。  ……なんて考えが一瞬でもよぎってしまった俺は、やっぱり重度のショタコンなのかも知れない。

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