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16.夏とプールと日焼け止め(7)

「お兄ちゃんにやってもらって分かったけど、ボク一人じゃ、まだ顔全部に塗りきるのは難しいね」 「そうだなぁ。じゃあ学校へ出かける前に、洗面所の鏡を見ながら塗るっていうのはどうかな」 「んー」  あれ。割といい提案だと思ったけど、ミオはあんまり乗り気じゃないようだ。 「ボクが一人で出来るようになるまで、お兄ちゃんが手伝ってくれるんじゃダメ?」 「え、俺が?」 「うん……わがまま言っちゃってるかなぁ」 「そ、そんな事ないよ。じゃあ、ミオが一人でも大丈夫になるまで手伝ってあげるから」 「よかった。ありがとう、お兄ちゃん!」  色よい返事が聞けたからか、ミオは大喜びで俺に抱きついてきた。  さっきの顔なでなでが、この子には余程お気に入りだったらしい。  まぁ手伝ってる俺の方も、ミオのみずみずしく、柔らかい肌に触れられるわけだから、役得ではあるんだけど。 「あ、ごめんね。日焼け止め……服に付いちゃった」 「はは、気にしなくていいよ。それじゃ、首周りの塗り方も練習やってみよっか」 「うん! やるやるー」  結局、日焼け止め塗りの練習で一番の難関は、顔へ満遍なく伸ばす事だった。  最後の首周りに関しては、特に後ろへの伸ばし方が足りないと、ムラのある焼け方をしそうではある。  ただ、顔ほどデリケートに扱う部位ではないので、手のひらに適量の日焼け止めを出し、両手で伸ばしたあとに塗りたくる、というやり方で全体をケアできそうだ。  残るは水着に着替えた後に露出する体への塗りなのだが、表現はよくないがこれも大ざっぱでいいと思う。  手が届きにくい背中への塗りには、スプレータイプを使うとか、背中塗り用の専門グッズなどがあるらしいのだけど、今回はそのどちらも買ってきていない。  なので背中の塗りに慣れないうちは、学校でやるよりも、出かける前にあらかじめ塗っておくという事で話がついた。  そうすれば、水泳の授業がある日なんかも、授業前の休み時間に余裕を持って着替える事ができるわけだし。  日焼け止めの塗り方ついでに、日焼けそのものについて少し詳しく調べてみたら、こういう薄着のシーズンになると、人によっては服の上からでも日に焼けるケースがあるそうだ。  そう考えると、夏休みが終わり、秋が到来するまでは、全身に日焼け止めを塗ってから出かける方がいいのかも知れないな。  幸いな事にミオは早起きのできる子だから、登校するまでの間に、日焼け止めを塗りきるだけの時間は充分確保できるだろう。 「お兄ちゃん、ありがとね。ボク、頑張ってぬりぬりするよー」 「うん。二人でしっかり日焼け予防しような」

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