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28.夜遊びの約束(6)

「じゃあご両親の事は、レニィ君に任せるよ。俺たちは見晴らしのいい部屋を押さえておくから」 「ありがとうございます。楽しみにしていますね!」 「へへっ。何歌おっかなぁー」  ユニィ君は上機嫌な様子で、自分が歌いたいのであろう曲を、鼻歌で口ずさんでいる。 「よし! 話もまとまったし、この場はお開きにしよう。みんなもお腹が空いただろうし、しっかり晩ご飯を食べなくちゃね」 「うん。カツオいっぱい食べるのー」 「柚月さん、未央さん、ごちそうさまでした。またお話できて楽しかったです」 「クリームソーダ、最高においしかったッス。じゃ、またカラオケルームで!」  会計を済ませた俺たちはロビーラウンジの出口で別れ、各々の客室に戻った。  この後は晩ご飯のディナーバイキングを堪能してから、カラオケルームに直行して如月兄弟を待つ予定なので、いろいろと下準備をする必要がある。  ディナーの食事券は、ちゃんと二枚あるからOK。  お次は、カラオケルームの利用料金を支払うためのお金がちゃんとあるか、財布の中身をチェックだ。  うん。問題なし。  ちなみに、このホテルのカラオケルームは、部屋ごとに料金が分かれている。  歌うメンツは俺とミオ、如月兄弟の四人だけなので、一番小さな五人用の部屋を使わせてもらうつもりなのだが、これが二時間・ワンドリンク制で四千円との事。  リゾートホテルの施設にしては割安だよなぁ、二時間みっちり歌えて、しかも飲み物まで付いてるんだから。  たぶん、ルームサービスで頼める軽食やアルコール類なんかで利益を得ているんだろうけど、今回は晩ご飯を食べた後だから必要ないな。  そんな心配より、今やる事でもっとも大切なのが、歌う部屋の確保だ。  客室にある内線電話を使ってフロントへ繋ぎ、五人用の部屋の予約を取ってもらっておく。  大きなホテルで宿泊客も多いから、もしかすると満室になっているかも……と心配していたが、今日は割と空きがあるそうなので、外の景色も楽しめるいい部屋を押さえてもらった。  利用時間は、八時半から十時半までの二時間。  ミオを始めとする子供たちにとって、夜の十時半までカラオケするのは、ちょっとばかり夜遊びが過ぎるかも知れない。  ただ、保護者として大人の俺が付いているし、旅先での、あくまで安全な館内施設でのお遊びだから、これくらいはまぁ許容範囲だと思う。  さすがに日付が変わるまで遊んでいたら、大目玉を食らうだろうけど。 「レニィ君たちが双子だとは思ってなかったから、最初に見た時驚いちゃった」  うーんと伸びをしながら、ミオが先ほどまで話をしていた、如月兄弟の印象を語る。

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