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32.イカ料理を食べよう!(4)

「単純にイカって書いてあるけど、何イカを使うんだろう。スルメイカかな?」 「最初に作った人は、スルメイカを使ったんだよね」 「そうだね。でもこのサイトには何イカって書いてないから、そこそこの大きさがあれば何でもよさそうな感じだよ」 「そこそこかぁ。だからさっき見てたテレビでは、おっきなソデイカを使ってたのかなー」  まぁ確かに何でも良さそうではあるけど、ついでに調べたソデイカの画像を見るに、さすがにこれは大きすぎるし、何より肉厚な事この上ないので、よほどの火力でないと、充分に熱が通らないような気がする。 「じゃあ、イカに詰めるお米も、お家にあるようなのでいいの?」 「レシピにはうるち米ともち米だけって書いてあるから、たぶんそれでいいはずだよ」 「うるち米ってなーに?」 「うるち米は、俺たちがいつも食べているお米の事さ。もち米はその名の通り、餅にして食べるためのお米ね」 「へぇ、お米にもいろいろあるんだ。どっちも初めて聞いたよー」  うるち米はまぁ今の説明で分かるとして、焼いたり雑煮に入れたりする餅は、もち米を加工して作られるのだが、ミオはそれを知らなかったようだ。  かつては大盛況だった餅つき大会みたいなイベントも、諸般の事情で年々規模が縮小したり、人が集まらずに開催そのものが無くなるケースもあるから、無理もないかな。  だから、今時の子らが餅の原材料を知りたいと思ったら、親に尋ねるか、市販されている餅を包装している袋の裏側を見るのが一番手っ取り早いだろう。 「へぇ、イカ飯の炊き込みに使う調味料は醤油と味醂(みりん)、それから砂糖に塩か。あとは料理酒があれば作れると」 「料理酒ってお酒だよね?」 「うん。と言ってもそのまま飲めない味付けになってるんだけどね。こっちのお酒は魚の臭みなんかを消したりするのに使うんだよ」 「そうなんだ! でも……」  料理酒の何かが引っ掛かったのか、ミオは頬に手を当て、レシピの調味料一覧を見ながら考え事を始める。 「ミオ、どうかした?」 「お酒って子供は飲んじゃダメなんでしょ? ボク、学校で先生に教えてもらったんだよ。『お酒は二十歳になってから』って」 「まぁ、それは合ってるな」 「じゃあ、ボクはお酒の入ってるイカ飯は食べちゃダメなんじゃないの?」  料理酒の特徴を知らないミオが、そういう疑問を抱くのも無理からぬ事だ。  いくら料理酒と言っても、〝酒〟と付いている以上は、その酒にはアルコールが含まれるのだから。  なので、料理酒を使ったメニューが子供にも安全である事を、大人である俺が教えて、安心させてあげる必要があるだろう。

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