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37.デパートを満喫しよう!(17)
「そういう事。ミオは途中までは心配してたんだろ?」
「うん。お兄ちゃんのお嫁さんになるのはボクなんだから、他の人に取られちゃうの嫌だもん」
さすがと言うか何と言うか、うちのショタっ娘ちゃんは、全くブレが無いなぁ。
以前、佐貴沖島 にある縁結びの神社へ訪れた際、俺との結婚が叶うよう、大きな声でお参りしていたミオの決意は依然として揺るがないようだ。
しかし、今現在で同性婚が認められていないこの国にて、果たしてミオとの婚姻は叶うのだろうか。
決して悲観的になっているわけではないし、ミオくらいかわいい男の子とならぜひ結ばれたいのだけれど、世論はまず味方してくれないんだろうな。
同性婚に対する賛否もさることながら、さすがに来年の、ミオの誕生日に合わせて結婚する、という予定は気が早すぎると思うんだ。
ただ単に、俺がショタコンの烙印を押されるだけで済む話ならそれでいいんだが、事はそう単純ではなさそうな気もするし。
でもまぁ何だ、「来年の事を言えば鬼が笑う」って諺 もあるわけだし、今からあれこれ考えても仕方ないか。
その時が来れば、なるようになるだろ。いや、むしろ、なるようにしかならん。
仮に世間が結婚を認めなかったとしても、そんな事は、俺たちにとっては些細な問題でしかない。これからも二人の愛が本物であり続ける限り、幸せな家庭は築いていけるのだから。
*
「いやー、食った食った。やっぱりトンカツにハズレは無いな」
食後の烏龍茶を飲み干し、グラスを置いた手でお腹をさすると、ミオがクスッと笑った。
「お兄ちゃん、キャベツ大好きなんだね」
「はは。お代わりが無料だって分かると、ついつい頼んじゃうんだよね。何だかもったいない気がしてさ」
「ねね、キャベツとご飯のお代わりが自由なお店って、結構あるの?」
「うーん。トンカツ料理の専門店なら割とやるサービスなんだけど、こういう普通のレストランだと珍しいかもな」
「そうなんだ。不思議だねー」
ミオはそう言うと、下唇に指を当てながら、瞳を斜め上に動かす。
こういう仕草を見せた時のミオは、たいてい何か考えごとをしているのだが、今の会話で、どこか引っ掛かるところがあったのかな。
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