331 / 832

37.デパートを満喫しよう!(18)

「お兄ちゃん。海鮮丼でも、そういうお店ある?」 「え? ひょっとして、海鮮丼のお代わり自由なお店がって話?」 「うん。ご飯じゃなくて、魚とかエビとかイクラとかのー」  要するに、ネタの替え玉って事かな? 海産物が大好きなミオならではあるとは言え、また、ものすごい疑問をぶつけてきたもんだなぁ。 「さすがにここじゃあ無理だろうけど、もしかしたらあるかもね。お代わりできるお店」 「ほんと!?」  今の言葉で期待を持たせてしまったのか、ミオは身を乗り出すようにして尋ねてくる。  初めて食べた海鮮丼をそれだけ気に入ってくれたって事なんだろうが、果たして、具材だけお代わり自由な海鮮丼ってほんとにあるんだろうか。 「ごめん、ミオ。今ざっと調べた結果だと、近所にはご飯が大盛りのとこしか無いみたいだよ」 「そうなの? じゃあ仕方ないねー」 「お代わりの件は残念だけど、今度はまた違う海鮮丼を求めて、他のお店でデートするか」 「うん! いつもありがとね、お兄ちゃん」  弾けんばかりの笑顔で感謝を表したミオは、どちらかと言うと、またデートできる事の方を喜んでいるようだった。  まぁ、それは俺もなんだけどね。  どこへ出しても恥ずかしくない、礼儀正しくておしとやかなショタっ娘ちゃんとデートできるのは、里親であり、同時に彼氏でもある俺だけの特権なんだから、そりゃあもちろん嬉しいに決まっている。 「ところでミオ。デザートは食べられそう?」 「んー。ちょっと待ってね」  腕組みをして考え込むミオは、すでに大人サイズのどんぶりに盛られた海鮮丼を、ペロリと平らげている。  普段は少食な子がこれだけ食べられたのだから、よほどお腹が空いていたのでは? と思って聞いてみたのだが、事はそう単純ではないようだ。 「ボク、海鮮丼でお腹いっぱいになっちゃったから、デザートは入らないかも」 「そっか」 「お兄ちゃんは?」 「実は俺も満腹なんだよね。キャベツの食べ放題で、うっかり調子に乗っちゃったよ」 「もう、頑張りすぎだよぉー」  確かに、苦笑いするミオの言う通りだ。いくら無料だからって、キャベツを二回もお代わりするのは頑張りすぎだよな。

ともだちにシェアしよう!