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37.デパートを満喫しよう!(19)

「んじゃ、腹ごなしがてらに、屋上にでも遊びに行ってみようか」 「屋上? お外に何かあるの?」 「さっき、フロアガイドを見て分かったんだけどさ。このデパートの屋上は遊園地になってるらしいんだよ」 「遊園地? よく分かんないけど、面白そうだねー」 「あ。そういやミオは遊園地、初めてなんだっけな」 「そだよ。施設にいた時は、いつも山にばっかり登ってたからね」 「よし。それじゃあいい機会だし、時間もたくさんあるから、屋上で遊んで帰ろう」 「うん、いっぱい遊ぶー!」  すんなりと話がまとまったところで、俺たちは席を立ち、エレベーターで屋上へと向かった。  俺がミオと同じくらいの年の時もそうだったけど、子供って、〝遊園地〟という単語にやたら敏感だよな。  これまで脈々と受け継がれてきた人間の本能が、「遊園地は楽しいところだよ!」って伝えてるのかねぇ。  ……あるいは、ただテレビCMに影響されただけかな。  フロア中央に位置するエレベーターは、お腹を満たした俺たちを乗せ、わずか一階だけ上昇し、吹き込まれたアナウンスと同時に扉を開ける。  期待に胸を膨らませたミオの目の前に広がる景色は、まるで楽園のようだった。  多くの家族連れが訪れる屋上遊園地では、各種の遊具乗り場やゲームコーナー、ペットショップなどに人々が集い、保護者は我が子のはしゃぐ姿を幸せそうに見守っている。  うちのショタっ娘ちゃんも例外ではないようで、扉の開いたエレベーターの眼前にそびえる、子供がたくさん乗れそうな小型の観覧車に目を奪われると、思わずあっと声を上げた。 「お兄ちゃん、観覧車があるよ!」 「ほんとだ。小さいけど、割と本格的ぽいね」 「すごいなー、こんなに高いところで回ってるんだぁ。ボクでも乗れるかな?」 「ミオなら大丈夫じゃないか?」  俺がそう言ってミオの頭をポンポンすると、ミオはその手首をきゅっと握り、愛おしそうに頬ずりし始めた。  ほんとはゴンドラに入れるかどうか、身長を測る意味でポンポンしたつもりだったんだけど、ミオ自身としては、頭を撫でられたと思ったのだろう。だからこそ、いつものように甘えんぼうモードのスイッチが入ったのである。  ちょっと天然なところがチャームポイントな、ミオならではの微笑ましい勘違いだよな。

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