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37.デパートを満喫しよう!(20)
「ミオ、いい機会だから乗っておいでよ」
「お兄ちゃんは?」
「俺? 俺はここから見てよっかなって」
「えー! 一緒に乗ろうよぉ」
「でも、みんな子供たちだけで楽しんでるみたいだからさ……」
「ボク、お兄ちゃんと乗りたいの。おねがーい」
ああ、ダメだ。かわいいショタっ娘ちゃんの、この訴えかけるような瞳でおねだりされると、どうしても断り切れないんだよなぁ。
「お兄ちゃん?」
「分かった、分かったよ。でも、大人が乗れない観覧車だったら、ミオだけで乗っておいでよ」
「うん! ありがとうお兄ちゃん」
子供たちの歓声で賑わう屋上観覧車は、高さがおよそ十五メートルという小ぶりなもので、ゴンドラの数もわずか九つしかない。
そのゴンドラの定員は一応、四人という仕様なのだそうだが、それって子供が四人までって話じゃないのかなぁ。
俺みたいな大人が乗り込む事で、重さでゴンドラが傾きやしないか心配になるんだが、さすがにそれは考えすぎか。
念には念を入れて観覧車の乗客をチェックしてみると、子供だけの他、母子らしき乗客も確認できた。あれなら、たぶん俺が一緒に乗っても大丈夫だろう。
「すみません。チケット二枚ください」
窓口へ訪れた俺たちが観覧車の利用券を買い求めると、いかにも優しそうなおばさんが、今日の日付が刻印されているチケットを手渡してくれた。
「ありがとうございます。二枚で四百円になります」
「じゃあ千円からでお願いします。チケット、けっこうお安いんですね」
「それなんだけど。実はね、うちの乗り物は全部、子供たちのお小遣いでも乗れるように安く設定してあるのよ」
おばさんの言う「うちの乗り物」とは、あの観覧車の他だと、柵で仕切られた中で稼働している、ぬいぐるみ型の電気自動車なんかも指すのだろうか。
あれにも乗せてみたいよなぁ。ミオならうまく乗りこなせそうだし、何より、すごく似合っててかわいいと思うんだ。
と、あれこれ妄想するのは後回しにしよう。ひとまずは、今しがたチケットを買った観覧車を楽しまなきゃな。
「あのー。子供ひとりと大人ひとりなんですけど、一緒に乗れますか?」
チケット売り場を離れた俺たちは、観覧車のゴンドラ開閉を担当しているお姉さんのもとへと行き、念のため、ミオと俺の同乗が可能か尋ねてみた。
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