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37.デパートを満喫しよう!(23)

 お金に執着する元カノの特徴がよほど理解しがたいものなのか、ミオが困ったような顔をする。  当初は、自分の恋人が、かつてどんな子と付き合っていたのか、あるいは現在進行系で浮気をしていないか気になるところだったのだろうが、疑惑が晴れた今となっては、もはや問い詰める気にもならないらしい。 「お兄ちゃん。ボクは、一緒に観覧車に乗れてすっごく楽しいからね!」 「うん、ありがとな」  俺が苦笑いを浮かべつつ感謝の言葉を述べると、ミオはぷうっと頬を膨らませた。 「ほんとに信じてるー?」 「信じてるよ。信じてるし、俺もすごく楽しい。何たって、かわいいミオが一緒だからな」 「もう、お兄ちゃんってばぁ……」  また面と向かって「かわいい」と言われた事がよほど気恥ずかしいのか、ミオは、さっきまで膨らませていた頬をみるみる紅潮させていく。  わはは。二人っきりだからと安心して、思いっきりノロケてしまったぜ。  この独特な雰囲気こそ、観覧車の醍醐味ではあるんだろうけど、さすがに今の言葉はちょっと大胆だったかな。 「なぁミオ。これが一周したら、次はあっちのパンダさんにも乗ってみるかい?」 「パンダさん? どこどこー?」 「ほら、あっちの柵がある方だよ」  俺は左の窓に手をつき、柵で覆われている屋上の一角を指で示す。  そこでは、四匹……もとい、四台のパンダ型電気自動車が、ミオよりも幼い子供たちを乗せ、徐行で動き回っていた。  柵の外では、子供たちの保護者とみられる母親や祖父母らが、その様子を見守りつつ、各々の持つスマートフォンや一眼レフカメラなどで撮影している。 「あれがパンダさん?」 「そうだよ、楽しそうだろ。ミオも運転してみたくならない?」 「え! 運転できるんだ」 「ハンドルが付いてるからね。ある程度自由自在に動かせるんだよ」 「面白そう! ボクも運転してみたーい」  よほど運転に憧れていたのか、ミオは窓に張り付き、パンダの動くさまを食い入るように見つめている。 「よし。それじゃあ、観覧車の次はパンダさんに乗せてもらおう」 「うん。お兄ちゃんも一緒に乗るんだよね?」 「え? いやいや、さすがにあれは子供用だから、俺は乗れないと思うぞ」 「そうなの? でも、ボク一人で大丈夫かなぁ」

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