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38.義弘お兄ちゃんの懸案事項(4)

 さらに言うならば、パンダを主役にした童謡なんて聞いた事が無いし、あえて『メリーさんのひつじ』を選んだのは、近縁という意味合いがあるのかも知れない。  まぁ近縁と言っても、近しい部分は同じ哺乳類ってくらいなんだろうけど、子供が楽しんでくれりゃそれでいいんだ。 「思ったよりゆっくり進むね。これ」  大人の徒歩よりも抑えがちな速度で進むパンダの前方座席にまたがり、ハンドルを操作しているミオがポツリと漏らした。 「確かにね。あんまり速くしすぎると、小さい子が扱いにくくなるからじゃないかな」 「そだね。ボク、お兄ちゃんみたいに速い車を運転できないから、パンダさんくらいがちょうどいいかも」  発進前にちょっと調べてみたが、このパンダさんに乗れる年齢は、保護者が同乗するという条件付きで、零歳から可能なのだそうだ。  だから、子供が十歳にもなると、若干物足りなさを感じるかも知れない。ただしそれは、その子が乗り物の運転に慣れていたら、の話である。  自転車はもとより、三輪車にも乗った事が無いミオにとって、ゆったりとした進行速度のパンダさんは、乗り物の入門用としては最適なのではないかと思う。  リゾートホテルのプライベートビーチで乗ったペダルボートとは、また感覚も違うだろうし。 「お兄ちゃん、後ろの乗り心地はどう?」 「いい感じだよ。頑張ってるミオの背中をよく見れるから」 「んー。そう言われると何だか恥ずかしくなってくるなぁ」  初めての単独運転を褒められたミオは、ちょっと照れくさそうにしている。  面と向かって本人には言えないんだけど、後部の座席からだと、ミオの背中はもちろんの事、お尻がどうしても目に入っちゃうんだよなぁ。  うちのショタっ娘ちゃんは、とにかく肌の露出が多い。それは上半身、下半身を問わずに、である。  今日のミオは施設にいた時に買ってもらった肩出しのシャツを着て、なかなかに丈の短いショートパンツを穿いている。  かようにお色気たっぷりの服装なもんだから、ミオが両足をめいっぱい伸ばしてパンダにまたがっていると、どうしても視線が臀部の方へ集中してしまうのだ。

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