「うふふ。かわいいなぁー」 　ミオはとても満足げだ。 　もっとも、ショタコンの俺に言わせると、満面の笑みで子犬とたわむれるショタっ娘ちゃんの方がかわいいんだけどね。 「こっちの猫ちゃんは、向こうを向いたまま丸くなってるね」 「アメショーか。一般的に人懐っこい性格らしいけど、まだ子猫だからなぁ」 「ねぇお兄ちゃん。聞いてもいい？」 「ん。何だい？」 「みんな、犬のことは『ワンちゃん』って呼ぶでしょ」 「そうだね」 「でも、どうして猫は『猫ちゃん』なのかな。そのまんまじゃない？」 　鋭い質問だなぁ、まさかそこに気が付くとは。 「単純に呼びやすさで決めたんじゃないか？」 「呼びやすさ？」 「ほら。例えば、猫の鳴き声を『ニャン』だとするだろ。そこから取って『ニャンちゃん』って、口にすると呼びにくいじゃん」 「なるほどー。じゃあ、その逆で『犬ちゃん』は呼びにくいって事だよね」 「まぁそういう理由だろうな」 　勝手にそういう理由にしてしまったが、ほんとに合ってるのか心配になってきた。 　ただ実際、一般的に犬の事を犬ちゃんとは呼ばないし、ニャンちゃんとも呼んでる人も俺の周りにはいないから、たぶん合っているんだろう。 　あと、文字起こしされた際の猫の鳴き声が「ニャン」とか「ニャー」とか「ンナーゴ」みたいに多数あって、犬ほどの統一感が無いから、そこも理由の一つじゃないだろうか。 　道を歩く野良猫を見つけて「あっ、ンナーゴちゃんだ！」って、まず言わないし。 　ちなみに、ミオが大好きなウサギには声帯が無く、鼻を鳴らす事で喜びや危機などを表現する。 　基本的に鳴き声よりも、その愛らしいしぐさでもって感情を示すウサギは、「ウサちゃん」という愛称がよく似合うと思う。 「お兄ちゃんはワンちゃんと猫ちゃん、どっちが好き？」 「俺かい？　そうだなぁ。人懐っこいのはワンちゃんの方だけど、どっちかと言うと猫ちゃんかな。それも子猫ちゃんの方ね」 「ん？　どうして子猫ちゃんなの？」 　特に子猫が好きだという事に疑問を抱いたミオが、小首を傾げて尋ねてくる。 「その理由(わけ)を知りたい？」 「うん」 「じゃあ、俺に甘えてきたら教えてあげるよ」 「え……」