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39.初めてのペットショップ(6)
ミオも年頃だから、学校で恋バナをするのは大いに結構なんだが、一体どんな話の流れから「浮気性」というフレーズに行き着いたのか、気になるところではある。
優柔不断と言われなかった理由は、ただ単純にミオがその言葉を知らないからか、あるいは、ほんとに俺は浮気性だからなのか……。
でも、ろくすっぽ彼女も作れなかった男が、そこまで浮ついた気持ちになるものなのかねぇ。
この間泊まったリゾートホテルでは、確かにショタっ娘三人に囲まれて舞い上がりはしたが、それでも俺はミオ一筋だった。
つまり、俺は女の子を取っ替え引っ替えする佐藤とは、根本から違うのだ。
佐藤、すまん。無理やり自分へ言い聞かせるがため、勝手に引き合いに出してしまった。
「とにかくだな。俺は、今のところは猫ちゃん派だよ。それも、なるだけ警戒心のない猫ちゃんね」
「あ。それ、よく分かるよー。絶対いじめたりなんかしないから、逃げないで、触らせて欲しいよね」
「まあ野良猫は防衛本能が強いからなー。かと言って、うちみたいなマンションじゃ、ペットは飼えないし」
「うんうん」
「俺たちみたいな人のモヤモヤを晴らすために、猫カフェだとか、本物そっくりなぬいぐるみがあるんだと思うよ」
「ぬいぐるみ、かわいいよね! ボク、お兄ちゃんが買ってくれたウサちゃん、大好きだよー」
ほんとに嬉しいことを言ってくれるなぁ、この子は。
俺が仕事で家にいない時は、ミオはあのウサちゃんのぬいぐるみを俺だと思って、大事にしてくれてるんだもんな。
そんなウサちゃんは、今では俺たちの家族であり、将来結婚する二人の子供でもあるんだ。
これってつまり、できちゃった結婚って事になるのかな?
いや、さすがにそれは論理が飛躍しすぎか。
「ミオはどっちが好きなんだい?」
「んー。迷っちゃうけど、やっぱりワンちゃんかなあ」
「あ、そうなんだ?」
どうやら、ミオには先ほどの口説き文句の影響はさほど無かったようで、ちょっと悩んだ様子は見せたものの、結果として犬が好きだと答えた。
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