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39.初めてのペットショップ(7)

「えっとね。ボクが施設にいた時、お出かけ先でワンちゃんを撫でさせてもらった事があるんだ。茶色の毛で、ちょっと大きいの」 「茶色で大きい?」  ミオには悪いが、情報が少ない……というか、ふわっとしてるから、とりあえず「犬である」という事しか分からないな。  もうちょっとヒントは無いものか。 「そのワンちゃんね、全然吠えなくて、すごくおとなしかったの。でね、ナデナデしたら尻尾を振って、喜んでくれたんだよー」 「吠えない犬は俺も好きかな。本来は番犬としての役目があって吠えるんだろうけど、室内犬なら、まず泥棒の心配もいらないしね」 「シツナイケン?」 「そう。庭とかじゃなくて、家の中で飼っているワンちゃんの事をそう呼ぶんだ。室内の犬って意味でね」 「ふーん、そうなんだ。でも、ボクが撫でたのは、お外で飼ってるワンちゃんだったよ。何て言う名前だったかなぁ」  ついさっきまで俺に抱きついていたミオが手を離し、腕組みをしながら首をひねる。  その様子から察するに、どうやらこの子は、自分が撫でたワンちゃんの犬種を思い出そうとしているようだ。 「んーと、んーと……あ! 確か、ゴールデン・だったような」 「ぶっ」  犬の話をしていたら、突然食材の名前が出てくるもんだから、思わず吹き出してしまった。  焼き鳥屋か! なんて、心の中で突っ込んでいる場合ではない。この子はまた、間違った覚え方をしているらしいので、俺がやんわりと正さなくては。

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