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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(8)

「それじゃあ二枚並べて撮ろう。二人でお祭りにやって来たって記念にね」 「うん!」  俺たちはお互いの似顔絵が描かれたせんべいを横に並べ、スマートフォンのカメラで見下ろすように撮影した。  思ったよりもテーブルが高かったのと、せんべいの一枚一枚が大きかった事で、画角に収まるかどうか微妙なところだったが、何とか上手く撮れたと思う。  念のために、ミオにも出来を確認してもらったが、光源だとかピント、角度といった技術論は一切抜きで、とにかく一緒に写っている事に大喜びしてくれた。  こうして、二人が納得のいく一枚を撮れたら、後はもう食べるだけだ。  俺のは甘辛ソースで味付けしてあるんだけど、ぶっちゃけた話、せんべいにチョコソースって合うのかな?  一応トッピングとして、色付きの砂糖なんかも置いてあるんだが、正直味の想像がつかない。一体どんな化学反応を起こすのだろうか。  そういや、市販されているおせんべいに、雪のような糖蜜をかけた商品があったのを思い出したが、あれはサラダ味との組み合わせなんだよな。  とすると、このお絵描きせんべいのキャンバスも、何かしらの塩味が効いていると考えるのが自然だろうか。 「どうしたの? お兄ちゃん」 「え? いや、ちょっと考え事してただけだよ。んじゃさっそく食べるとしますか」 「そだね。いただきまーす」  写真に残った事で安心したのか、ミオは何のためらいもなく、俺の顔が描かれているせんべいにかぶりついた。  俺もさっきから、ソースのボトルより漂う野菜や果実の香りで腹が鳴っていたんだし、遠慮なくいただいちゃおう。 「うん、うまい。せんべいはえびせんか何かだと思ってたけど、これは純粋に無味で、小麦粉とコーンスターチを使って作ってあるっぽいね」 「んん? コンスタンチ?」 「ノーブル……じゃなくて、コーン・スターチね。簡単に言うと、せんべいのサクサク感を出すために使う食材、かな」  まだ世界史も習っていない子供の口から、突然、東ローマ帝国の首都が飛び出しそうになるもんだから、話していて飽きが来ないんだよなぁ。

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