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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(9)

 こういう天然なところがミオの魅力なんだけれど、間違って覚えたまま大人になると、それはそれで大変な事になっちゃうから、俺も気が抜けない。 「ほんとだー。サクサクしてておいしーい」 「チョコソースにも合うというか、これなら甘辛どっちでもいけるな」 「おせんべいっていろんな種類があるんだねー。ボク、ちょっぴり口の中が乾いてきたかも」  俺の顔が描かれた、大きなせんべいを手で細かく割って口へ運ぶところを見るに、どうやら、かなりの水分を吸収されるらしい。  そういう性質のお菓子だからこそ、ソースがこぼれずに染み込んでいって、絵を描きやすくなっているんだろうけど。  水筒でも持ってくれば良かったかな? という考えが一瞬よぎったが、せっかく屋台が並んでいるのだから、ここは現地調達といくか。 「それじゃあ、飲み物を買いに行こっか。ここまで歩いてきて、ちょうど喉も渇いてきただろ?」 「うん。ちょっと汗かいちゃったし、おせんべいを食べるなら、何か飲みながらの方が良さそうだよね」  話がまとまったので、俺たちは一旦せんべいを袋へしまい込んだ後に店を出て、飲み物を売っている屋台を探す事にした。  自販機があればそれに越したことは無いのだが、ここは神社の境内なので、さすがに急ごしらえでも設置されてはいないだろう。  俺が子供の頃に行ったお祭りの場合だと、ジュースやお茶などの缶やペットボトルを氷水に浸して売っていたものだが、あれは今でもあるのかなぁ。 「ねぇお兄ちゃん。あれなぁに?」 「え? どれ?」 「ほら、あそこ。『ラムネ』って書いてあるの」  ミオが指差した先にあるお店の屋根部分には、大きな青文字で、ただ一言、ラムネとだけ書かれていた。 「あ、ラムネがあるんだ。そりゃちょうどいいや」 「んー? どういうこと?」 「あのお店ではね、ラムネって名前の飲み物を売っているんだよ。だからちょうどいいかなって」 「そんな飲み物があるの? ボク、初めて聞いたよー」 「炭酸系でうまいんだぞ。きっと、その甘いせんべいにも合うんじゃないかな」 「そうなんだ。飲んでみてもいい?」  人混みにもまれてはぐれないよう、俺の手をぎゅっと握ったミオが、気を遣うように尋ねてくる。

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