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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(10)

 俺たちはもう恋人同士だというのに、ミオはまだどこか、遠慮がちなところがある。そこが慎み深くはあるんだが、もっと甘えて欲しいよな。  お金を湯水のごとく浪費しようと企んでいたは論外だけど、かわいいミオには、どんどん頼ってきて欲しいと思うのである。 「もちろんいいよ。ラムネがどんな感じなのか、実際に飲んでみて味わって欲しいからね」 「わー。ありがとう! 楽しみだなぁ」  俺は期待で胸を膨らませるミオの手を引き、ラムネを取り扱っている屋台へと連れて行く。  ああ、やっぱり、今も昔も氷水で冷やすのは定番なんだな。  ラムネの屋台が近づくにつれ、飲み口を白いカバーで覆われ、銀色のアイスボックスに並べ立てられた無数の瓶が、はっきりとその姿を現してきた。  そのアイスボックスの上にはプレートが立てられていて、やれプレーンやら、メロンやら、ブルーハワイなどと書かれたポップな文字が踊っている。 「色の違う飲み物がいっぱいあるねー」 「うーむ。俺が想像してたのと違うな。こんなに種類が豊富だとは思ってなかったよ」 「そうなの?」 「うん。俺が子供の時は、水色の瓶に詰められたラムネだけ飲んでたからさ」  メロンとかイチゴとかはまだ分かるんだけど、ラムネのブルーハワイって一体何味なんだ?  ブルーハワイ自体は、かき氷なんかではよく見るシロップだけど、勝手にミントのような印象を抱いた少年時代の俺の食指は伸びなかったんだよな。  おそらく甘いシロップに、青色の着色料を配合しているだけだとは思うんだが、こればかりは作っているメーカーのさじ加減だからなぁ。  よく分からんから、俺は今回もパスしよう。 「ミオ、どれでも好きなの選んでいいからね」 「ありがと。じゃあボク、メロンにするー」 「俺は、こっちの黄色いやつにするか。すみませーん、二本ください」  欲しい物が決まり、他のお客さんへの応対に当たっていたおじさんに声をかけると、威勢の良い返事が飛んできた。 「あいよ、どれでも一本二百円! そこから、好きなの選んで取っておくれよ」 「あ、はーい。分かりました」  どうやらこのお店は、代金後払いの、セルフサービスで商品を受け取るシステムになっているらしい。

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