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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(14)

「ふー、危なかったぁ」 「うふふ。でも、どうして、お兄ちゃんのだけ溢れそうになったんだろうね?」 「たぶん、ここに持ち運ばれてくる間に相当揺らされたんだろうな。あとは個体差によるかと」 「個体差? よく分かんないけど、炭酸の量が違うとか?」 「まぁそんな感じじゃないかね。例えばシャンパンでも、栓を抜いてもウンともスンとも言わないやつがあるし」  とまで話して気が付いたが、そういやまだ十歳のミオには、シャンパンが何なのかは分からないのか。 「しゃんぱんってなーに? 飲み物?」 「えっと、簡単に言うとワインの一種で、もっと分かりやすく表現するなら、炭酸入りのぶどう酒ってとこだな」 「それも溢れたりするの?」 「シャンパンの場合はコルク製の栓をするんだけど、開けた時に、栓と中身が勢いよく飛び出すこともあるのさ」 「え。こわーい! でも見てみたーい」  ミオは目を丸くしつつも、シャンパンの特性には興味津々といった様子だ。  シャンパンのコルク栓と中身が勢いよく飛ぶ、というのはある程度大げさに話した部分もある。事前にしっかりと準備を整え、開け方さえ誤らなければ、まず失敗することはない。  もっとも、めでたい席だとか、F1レースの表彰台で行うシャンパンファイトなんかだと、あえて中身が吹き出すように仕向けることもあるわけだが。 「そうだなぁ。ミオはまだ小さいからお酒のシャンパンじゃなくて、シャンメリーで見せてあげよっか」 「しゃんめりぃ?」 「シャンメリーは、シャンパンを参考に作った炭酸飲料だよ。ぶどうの一種であるマスカットとか、りんごの果汁を混ぜて作ってあるジュースだから、ミオでも飲めるんだよ」 「じゃあ、『良い子びーる』みたいな感じなのかな」 「まぁ一口で言うとそうだね」  ちなみにミオが例に出した『良い子びーる』とは、黄金色(こがねいろ)の着色料と白い泡にてビールを模した、口当たりの甘い子供向け炭酸ジュースである。  それ自体はジョークアイテムという位置付けながらも、子供たちはちょっと背伸びした気分になれるし、何より味がうまいので、昔から根強い人気を持っているのだ。  おそらくミオも何かの折に良い子びーるを飲む機会があって、その存在を知ったのだろう。

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