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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(16)
「ねぇお兄ちゃん」
「ん? 何だい?」
「あのおじさん、お母さんに惚れられたの?」
いかん、話がややこしくなってきた!
シャンメリーを開けるのは特別な記念の日にしようって提案したら、ミオが俺との結婚式の日だと思い込んで、それを聞いていたラムネ屋のおじさんによるロリコン疑惑を、ミオがまさかの母子恋愛だと勘違いして、どれから処理すればいいのか分からない。
とりあえず、一番ヤバい問題から片付けていくか。
「ミオ。この場合の『母ちゃん』ってのはね、お母さんじゃなくて、お嫁さんの事を指しているんだよ」
「じゃあ、ほんとのお母さんだけじゃなくて、お嫁さんも『母ちゃん』って呼ぶって事? 変なのー」
「そ、そうだね。あは、あははは」
今の会話をおじさんが聞いてやしないかとハラハラして、引きつった笑いしか出てこなかった。
とりあえず、ミオの誤解を一つ減らす事ができたので、次の問題に移ろう。
「で、だ。シャンメリーの話だけど」
「うんうん」
「結婚式だったら相当先になっちゃうから、もっと身近な日に開けようと思うんだ」
「むぅー」
二人の結婚式がまだ先の話だと聞かされたミオは口を尖らせ、残念そうな顔をする。
言いたいことは分かるし、そりゃ、俺だってすぐにでもミオを娶 ってあげたいけど、今の世間が絶対に許さないからなぁ。
俺の両親との顔合わせも済ませていないのに、いきなり「ミオと結婚します」って宣言しようものなら、たぶん卒倒されるだろうし。
「まぁまぁ、そんなにがっかりしないで。シャンメリーを開ける日は、きっと素晴らしい一日になるからさ。その時まで楽しみにしててよ」
「素晴らしい一日?」
「うん。細かいところが詰まってないから、まだ具体的には言えないんだけどさ。とにかく、それは俺が保証するよ」
「分かったよー。お兄ちゃんのお話、信じて待ってるね」
俺の答えにハッキリしない部分が多いから、もう少し突っ込んだ質問をされるかと思ったが、ミオは意外にも満足そうな様子で、よく冷えたラムネに口をつける。
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