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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(33)

 ミオが口で「すんすん」と言いながら、小さな鼻を使って、よく焼けた麺や肉、野菜の香りを味わっている。  どうやらこの子にも気に入ってもらえたみたいだし、次の屋台飯はこれで決まりかな。 「ミオ、焼きそばのサイズはどれがいい?」 「んーとね。ボク、あんなにたくさんは食べられないから、ミニがいいな」 「OK、ミニね。すみませーん、並とミニを一つずつください」 「はいよ!」  ちょうど、大量の焼きそばを作り上げたおじさんが、俺たちの注文を受け、それぞれのパックに盛り付けていく。  そしてトッピングとして青のりを振りかけ、わずかばかりの紅しょうがを添えれば、屋台謹製、焼きそばの完成だ。 「はい、お待ちどうさま。温かいうちに食べていっておくれよ!」 「ありがとうございます。じゃあこれ」  俺はお代と引き換えに、焼きそばが詰まったパックを受け取り、小さい方をミオに手渡した。 「ありがと、お兄ちゃん。ほかほかでおいしそうだねー」 「もう腹が鳴って仕方ないよ。て事で、あっちの休憩所でゆっくり食べるとしますか」 「うん。こんなにいっぱい食べるの初めてだから、楽しみだなぁ」  ミオは普段から少食な事に加え、まず焼きそばを食べる機会自体に恵まれなかったみたいなので、おそらくミニサイズでも大容量に見えるのだろう。  まぁ焼きそばをおかずに白米を食べると、炭水化物のダブルパンチになっちゃうから、主となるおかずに選ばれてこなかったのかも知れないな。 「ごめんなミオ。初めてのお祭りなのに、休み休みになっちゃって」  お祭りへ出かける前に食事を控えめにして行こう、と提案したのは誰あろう俺だというのに、それが裏目に出た結果、空腹が邪魔をして、いろんなゲームを遊ばせてあげられていないのだ。  もっとも、お祭りならではのグルメを堪能するのも一つの楽しみ方ではあるのだが、こうも食べてばかりになると、遊びたい盛りの子には申し訳なくなる。 「んーん、いいの。ボク、お兄ちゃんと一緒にお祭りに来られただけで幸せなんだよ」  ミオはそう言うや、焼きそばのパックをテーブルに置き、俺の右手を優しく包み込むように握ってきた。  はぁ。やっぱり天使だよ、この子は。

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