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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(36)
「ふー、食った食った。おいしすぎて、箸が止まらなかったよ」
「そだね。こんなにいっぱいの焼きそばを食べたの初めてだから、すごく幸せだよー」
俺より少し遅れて焼きそばを平らげたミオも、満足そうにお腹をさする。
しかし、焼きそばソースの味は強烈だな。麺と豚肉と野菜を甘辛い味付けにしてくれたもんだから、あまりにもうますぎて、いくらでも食べられそうな気になる。
ミオには内緒の話だが、この濃厚な味わいの焼きそばを食っている間は、終始白飯が欲しくて仕方なかった。
今度仕事の昼休みで飲食店街に寄ったら、焼きそば定食のある店を探してみようかな。
「ミオ、今度はどこ見に行こっか?」
「うーん? どれも楽しそうだけど、一番気になったのは、小さな風船があるとこかなぁ」
「小さな風船?」
「そう。他の子が手に持って、ボヨンボヨンさせて遊んでたの。あれって風船でしょ?」
「ああ、あれの事か。確かに風船と同じ素材を使ってるな。ちなみに、あれはヨーヨーって言うんだよ」
「ヨーヨー? でも、ボクが知ってるのとは違う気がするんだけど……」
自分の中で覚えている名前と実物のイメージがあまりに異なったせいか、ミオが首をひねり、困ったような顔をする。
「たぶん、ミオが知ってるヨーヨーって、プラスチック製のおもちゃの事だろ? そっちは歴史が深い、元祖の方だな」
「え。あれとは別に同じ名前の物があるって事? じゃあ、お祭りのヨーヨーは、どうしてヨーヨーって名前がついてるの?」
「う、鋭い質問だな。あれの正式名称は『水ヨーヨー』と言うから別物らしいんだけど、どうしてその名前になったのかまでは……」
受け売りの知識は豊富な俺だが、さすがに水ヨーヨーの出自までは知らなかったので、すぐさまスマートフォンで調べてみる。
「んー、分からん」
「〝いんたーねっと〟にも、水ヨーヨーの事載ってなかったの?」
「名前の由来はハッキリしないんだ。ただ分かっている事は、最初はあの風船の中に、何らかの飲み物を入れて売っていたらしい」
「えー! 飲み物って、ジュースみたいな?」
「たぶんそうだろうね。資料が無いから断言はできないけど、瓶に比べて費用を安く抑えられるとか、そういう理由があったのかもなぁ」
「でも、今はお水が入ってるんだよね」
「うん。そこが不思議なところなんだよな」
スマートフォンをしまい込んだ俺は、あごをさすりながら、水ヨーヨーの仕組みを考察する。
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